Archive for 11 月, 2007
車窓百景(16)~東北本線・E655系で走る新白河~大宮
ハイグレード列車E655系から眺める東北本線の車窓をお送りします。
東北本線の中でも今回の区間は東京に近い近郊区間がほとんどです。特に宇都宮から先は、JRになってからは「宇都宮線」と呼ばれる通勤路線で、列車も通勤型の普通列車がほとんどです。
それでも郊外にはまだまだ広い田園風景が広がります。天気の良い初冬の午後のひとときを豪華列車で走り抜けます。
宇都宮駅では滑らかな発車シーンもご覧いただけます。滑るように動き出す様子が動画でもわかるのではないかと思います。
ハイグレード列車E655系の旅(その3)
今日は最初から動画です。
E655系の走行シーンを撮影しました。最初に新白河駅に入ってくるところ。そして車内放送と車窓風景。最後に上野駅に到着後、回送列車として車庫に戻っていくシーンを繋げました。
新白河駅にはかなりゆっくりした速度で走ってきます。乗客がすでに乗っているので配慮した運転をしているのだと思います。
車内放送は団体貸切列車ですので普通の列車の放送とは少し違います。途中で車掌さんが丁寧にE655系の説明をしてくれます。
車内放送のチャイムは新幹線や特急電車でかかるものと同じ音でした。警笛もそうですが、音に関しては日常聞いたことのあるもので特別なものはありませんでした。
走行している時のE655系ですが、発車時以外はJR東日本の他の特急列車と大差はありません。特別に揺れが少ないとか、そういうこともなかったと思います。座席がよいのでふんわりとした感じでゴツゴツといった感触はありませんが、その他はいつもと同じといったところでしょうか。
ベースとなった車両の関係から、常磐線の「フレッシュひたち号」、東北本線の「つがる号」とほぼ同じ感覚でした。
ただし発車時だけは特別です。前々回にも少し触れましたが、時速0Km~時速5Kmくらいの超低速域の動き出しがとにかく滑らかです。最初の数秒は列車を手で後ろから押してもらって、その後モーターに繋がるようなイメージです。
従来のお召し列車は客車でしたから、機関車の引っ張りによるカクンという衝撃がわずかでも感じられたはずですから、それと比較すると今度のお召し「電車」はその利点を発揮していると言えると思います。
私の乗った座席は動力車の車端部で台車の真上でしたから、この列車の中では最も乗り心地が悪い位置だったはずなのですが、それでも静かでしたから性能はかなり良いのではないかと思います。
音は室内では静かです。デッキ部では室内よりは遮音性が低いので、それなりにうるさいです。最近はデッキも静かなN700系新幹線とかに乗っていたので、デッキに出ると音が大きくなるのは気になりますが、用途と在来線車両であることを考えると特に問題はないでしょう。
最後に車内販売で購入したグッズの紹介です。
E655系のハンカチ、ネクタイピン、ストラップの3種類がありました。
ハンカチはマイクロファイバーハンカチで小型の敷物といった体裁です。全面にE655系の写真がプリントされていて、左下には「E655 High-Grade Train」の文字が入っています。
ネクタイピンとストラップはどちらも共通のデザインで、紫色に金色の3本の帯をあしらった車体と共通の配色になっています。
ネクタイピンは箱に、ストラップは台紙に「乗車記念」の文字が入っています。また、ネクタイピンの方は背面にも「E655系乗車記念」と刻印されています。ストラップの方は糸の部分も金色で、本体と糸はフックで取り外せる仕組みになっていました。
JRのグッズはどちらかというと子供向けの商品が多いのですが、このネクタイピンとストラップは高級感があり、年配の方が身につけていても違和感がない大人向けの質感になっています。
新型お召し列車にもなるE655系。要人の移動手段として列車という選択肢が増えたことは非常に有意義だと思いました。エコの時代ですから、大いに活用していただきたいと思います。
ハイグレード列車E655系の旅(その2)
一般客を乗せる時のE655系は5両編成です。上野寄りの先頭が1号車で、仙台寄りの最後尾が5号車になります。一般客が利用できる車両は、1、2、4、5号車の4両で、海外の要人等に対応するVIP車両の3号車は、連結はしていますが着席や利用はできません(通行と写真撮影等は許可されていました)。
お召し列車として天皇陛下が乗車される際には、この他に皇室専用車両の御料車が3号車と4号車の間に連結されます。
1、2、4、5号車の定員は合計で98名、これが1回の運行で旅行できる一般客の人数になります。我が家で申し込んだDコースの定員は50名満席でした。
車両の出入り口ドアやデッキは広く作ってあり、完全なバリアフリー構造で車内に段差は一切ありません。
車内は全体的に落ち着いたブラウン系のデザインでまとめられています。
通路の幅もゆとりがあり、車椅子や大型のスーツケースを持っていても楽々通行できると思います。
一般客が利用できる1、2、4、5号車は、各車両とも1+2配置のかなりゆったりした座席で2列側の席も各席は完全に独立しています。また前後の座席との間隔も広いです。座席は航空機のビジネスクラスのシートのようなイメージで、余裕があり座り心地も良いです。座席は紫色の色彩になっていて、全体の茶系とマッチして高級感が感じられるデザインとなっていました。
2列側のシートではお互いの中央側にある木目調の肘掛けの中にITシステムが収納されており、反対側(窓側と通路側)の肘掛けの中にサイドテーブルがあります。どちらも肘掛け部を開いて中にある器具を垂直に引き上げると出てくる仕組みです。ITシステムの方は重量がかなりあり、女性やお年寄りの方にはなかなか引き出せない人もいました。両手で持ってぐいっと持ち上げると液晶ディスプレイが出てきます。
肘掛け横の座席の内側には電動リクライニングボタンが2つあり、それぞれ背もたれとフットレストを調節できます。
各席の上には空調の吹き出し口と調節機能、読書灯があり、その上は荷物入れになっています。
これも航空機と同じ作りでフタが閉まるようになっています。
窓は大きくて見晴らしはとても良いです。ブラインドが付いていて、各席ごとに上から下ろせるようになっています。ブラインドは白いメッシュの入ったデザインでした。
窓の下の枠は木目調で、前後の席の窓の間には波形の鎧戸のようなデザインの壁面になっています。これによって室内は少し和風の印象を受けました。
前の座席の中央側にはカップホルダー、背面には書類を入れるポケットと簡易えもん掛けが付いています。私の席は2号車最前列の車端部(1A、1B)だったため、前には席がなくて壁でしたので書類ポケットは壁に付いています。またこの席だけはカップホルダーはありませんでした。こういう席の場合、壁の圧迫感を感じたりしますが、E655系の場合には車端部席でも壁との距離がかなりとられているため、窮屈な感じはしませんでした。足も十分に伸ばせます。航空機の非常口席のような雰囲気です。
各席にはE655系の説明パンフレットとITシステムの説明書、イヤホンが配布されていました。
E655系は全車両がグリーン車扱いということで車内の床は絨毯敷きになっています。
車両間のドアとデッキと室内を区切るドアは、どちらもセンサー方式が採用され無駄な開閉が行われないようになっていました。ドアノブの位置にあるシールに手を伸ばすとセンサーが反応してドアが開く仕組みです。車両間は両方の車両にドアがあるため、片方のセンサーに触れるとそれぞれの車両のドアが反対方向に一度に開きます(わかりにくいと思いますが最後の動画でそのシーンを見ることができます)。
車両間のドアは一般車両が真ん中に縦にガラスが入ったデザインで、3号車だけが全面板になっていて中が見えないようになっていました。デッキと室内との区切りドアはすりガラスのようなスモーク仕様になっています。仕切りドアのデッキ側には車内の案内図が表示されていました。
各車両の仕切りドアの上部には室内案内表示器が付いていますが、これも車体と同じようにピカピカの鏡面仕上げです。表示はカラーLED式で、今回は号車番号が青色で案内文は白色で表示されていました。
3号車だけが特別でVIP車両となっています。3号車は車両の真ん中に区切りがあり、全面板のドアでさらに仕切られています。
仕切りより2号車側に護衛の人等が座るVIP席とサービスカウンターがあります。VIP席は一般車と設備は同じですがシートが黒の革張りになっています。この席は9席(3列)しかありません。
サービスカウンターは今回は車内販売の準備室と売店として営業していました。各席のITシステムで注文した品物は、ここからNREのサービスアテンダントさんによって席まで運ばれていきます。
ITシステムの注文は大盛況でどんどん注文されるのでアテンダントさんは大忙し。ひっきりなしに商品を運んでは対応に追われていました。
仕切りより4号車側(お召し運転時は御料車側)にVIPルームがあります。ここは完全な個室です。今回はドアには鍵が掛けられ、ブラインドも下ろされていたので室内は見られませんでしたが、座席においてあったパンフレットでどういう施設なのかは説明されていました。中にはソファやテレビがあり、要人の方はここに乗車するようです。
1号車から5号車まで歩いてみましたが車両数の割には設備は充実しています。
トイレは男性用が3ヶ所(1、2、5号車)、男女両用が4ヶ所(1、2、3、5号車。うち2ヶ所が身障者対応)、洗面台が4カ所(うち2ヶ所は身障者トイレと共有スペース)、サービスカウンターが2ヶ所(3、4号車)、多目的室が1ヶ所(5号車)にあります。
乗降用ドアは2~5号車の各車両に1ヶ所ずつで、1号車には乗降用ドアはありません。また先頭車両(1、5号車)の運転席側にはデッキがなく、室内から運転台の方向へは出られないようになっています(ドアはありますが進入禁止)。
それでは席に戻ってITシステムを使ってみましょう。
ITシステムはE655系で初めて搭載されたサービスで、各席にいながら車内販売の注文や各種コンテンツが楽しめるというものです。
座席に格納されているディスプレイを引き出して、タッチパネルに指で触りながら操作します。「大人の休日倶楽部」会員の一行の皆さん(満50才以上の方)が利用していましたから操作は簡単です。
メニューは大きく4つ用意されていました。車内販売、ゲーム、放送、ビデオ・音楽案内です。
車内販売は座席にいながらにして飲み物食べ物をはじめとした車内販売を注文できるシステムです。注文した商品はアテンダントさんが各席まで持ってきてくれますので、その時に商品と引き替えに代金を支払います。
ゲームは液晶パネルを使って簡単なゲームができます。
放送はテレビやビデオ等の映像コンテンツを視聴できるサービスです。
ビデオ・音楽案内は本日視聴できるビデオや音楽についての番組表と内容説明が表示されます。
まずは車内販売から利用してみましょう。
車内販売をタッチすると、各ジャンルのボタンが上部に表示され、その下にさらにサブジャンルのボタンが並びます。これで購入したい商品を選択します。
鉄道マニアとしては最初に探したいのがE655系の限定品ですよね。これは「グッズ」→「グッズ」の中にありました。
サブジャンルのボタンに触ると商品一覧が表示されます。簡易説明と在庫の有無が表示されています。説明欄にタッチするとさらに詳細な説明が見られます。
E655系の限定品としては、タオル(と表示されますが実はハンカチの間違いです)、ネクタイピン、ストラップの3つがあるようです。一番上の寝台トランプは寝台特急の図柄のトランプなのですが、これは北斗星やカシオペアの車内でも販売されていて、すでに持っていましたので今回は見送ります。
注文は商品の横の個数の欄を矢印で増減させて「注文画面へ」ボタンを押して行います。最終確認で「注文する」を触ると、届けてくれる旨のメッセージが表示されて注文完了です。数分でアテンダントさんが商品を持って来てくれます。
今回はグッズや雑貨類は少なくほとんどが飲食品でした。しかしこちらはかなり充実しており、ビールにお酒、ワイン、ソフトドリンク、おつまみやお土産の名産品など、NREの担当なので東北新幹線と同じラインナップです。今月のおすすめ品である「三陸のホヤの燻製」もラインナップにありました。
企画旅行だけにこれらの商品は飛ぶように売れていきます。ITシステムでは注文数が一度に大量に入ると、一時的に注文を受け付けてくれなくなります。カラオケの注文と同じような感じですね。時間がたってさばければまた注文ボタンが表示されますが、この状態に何回かなるほどの盛況ぶりでした。動画の中でITシステムの画面が出てきますが、その時がちょうど注文停止状態になっています。細かい点ですが画面上部に「申し訳ありませんが・・」とテロップが出るのです。
アテンダントさんは本当に大忙しでひっきりなしに車内を行き交っていました。はじめは「在庫あり」だった商品一覧も次第に「売り切れ」や「残り僅か」の表示になっていくほど売れました。
面白かったのは宇都宮を過ぎた辺りで「芋焼酎ロック」だけが「残り僅か」になったことです。水割り、お湯割りは薄めればできますが、ロックで呑まれると減りが早くて困るということでしょうか(笑)。でも人の心理として「残り僅か」と表示されるとついつい押してしまいたくなりますよね。
続いてゲームです。ゲームはリバーシ(オセロ)、神経衰弱、スロットの3つが遊べました。
リバーシと神経衰弱はコンピュータとの対戦で難易度も選択できます。
スロットはゲーム内での手持ちのコインを賭けるもので、当たるとコインは増えますが換金はできません。あくまで遊びです。
そして放送。一般的にはこれが最も利用頻度が高いのではないかと想像します。平たく言うとテレビとビデオです。
テレビはNHK系列のチャンネルが選曲できました。相撲やオペラの放送が安定して見られました。
ビデオはJR東日本の特急列車の紹介ビデオです。新幹線の走行シーンなどが見られます。
音声は液晶ディスプレイの横のイヤホンジャックに配布されたイヤホンを差し込んで聞くようになっています。
しかし鉄道ファンならずとも人気があったのが車載カメラです。1号車(前)と5号車(後)の両方から前面・背面展望映像を見ることができます。
GPSと連動して走行位置を地図上に示す機能も付いていて、旅行好きには素晴らしいコンテンツでした。
E655系は珍しいので、沿線や駅では多くのファンがカメラを構えて撮影しているのですが、前面ビデオでは駅で撮影している人とカメラのフラッシュがたくさん写って、まるで芸能人の記者会見のようになっていました。
あとちょっとマニアックな点ですが、ITシステムの液晶パネルの横にはUSB端子が付いていました。これがデータの入れ替えようなのか、何かの用途を想定しているのか不明ですが、ひょっとすると将来的にはゲームのデータや観光情報、ポイントなどを他のデバイスと連動できたりするようになるのかもしれません。
今回の旅行ではこうした車内設備についてのアンケートがありました。結果によってこれからどんどんと改良されていくのだと思いますが、やがてこのようなシステムが普通の特急列車にも採用される日はそんなに遠くないように思います。
少なくとも車内販売の盛況ぶりをみると、ワゴンを押して回るよりは効率的で効果的なシステムだと思えました。
今回は長くなりましたが、最後に車内の様子をまとめた動画を用意しましたのでご覧ください。
E655系はやはり人気があり人の往来も激しかったのでなかなかうまく撮影できず、多少細切れになっていますが雰囲気は感じていただけるのではないかと思います。
よくわからない点はコメントかメールでご質問いただいても構いません。
明日は走行シーンの映像や購入したグッズ、E655系の走行感について書いてみたいと思います。
ハイグレード列車E655系の旅(その1)
三連休最後の日曜日の11月25日、JR東日本のハイグレード列車「E655系」で旅行してきました。
ハイグレード列車E655系は今年完成したばかりのJR東日本の新しい車両で、お召し列車にもなる高級列車です。従来から天皇陛下や皇室関係者に利用されてきたお召し列車が老朽化したことから新造されたのですが、お召し列車以外にも海外要人の移動や団体旅行の目的にも使用できるように考慮されて設計されました。
試運転が終わり、この三連休に一般客を乗せた初のツアーが実施されました。
ツアーはJR東日本発足20周年記念特別企画「豪華ハイグレード列車の旅」というもので、JR東日本の「大人の休日倶楽部」会員限定の企画です。
「大人の休日倶楽部」は満50才以上の男女が入会できるJR東日本のシニア向けの旅行会員サービスです。私本人は年齢が規定に達していないので入会できませんが、全員が旅行好きな我が家では私の母が会員になっています。ツアーは会員の人と同伴なら非会員でも参加できますので、今回は母と二人でハイグレード列車に乗りに行きました。
ある日、私がたまたま実家に戻っている時に、郵便屋さんがJR東日本の旅行カタログを届けに来ました(大人の休日倶楽部では毎月会誌等が送られてきます)。母が開封すると中に今回の企画のパンフレットが入っており、その場で参加を即決。電話で申し込みました。このツアーは先着順だったので良かったのですが、最終的には100倍以上の応募倍率になったそうで本当にラッキーだったと思います。
ちなみにJRに電話をしたら、(私もビューカード等いくつかの会員になっているため)住所等の登録情報の代表者が私になっていて、「大人の休日倶楽部」であるにも関わらず私の名前で代表参加登録されました。これは個人情報の観点からはちょっと不思議な気もします。まあ家族なので良いのですが。JR東日本で一括管理ということなのでしょう。
ツアーは全部で23日から25日まで4つのコースがありましたが、我が家ではDコースを申し込みました。
いずれのコースも片道ハイグレード列車での移動となりますが、全日程が1泊のコースと日帰りのコースに分かれており、さらにハイグレード列車への乗車が往路のコースと復路のコースが選択できます。
Dコースは日帰りで復路にハイグレード列車に乗るコースです。コース選択も母と意見が一致したので、カタログを開封してから申し込みまでは数時間もかからなかったと思います。
ということでいよいよ当日。天気は雲ひとつない快晴で素晴らしい行楽日和となりました。
まずは東北新幹線「やまびこ号」で新白河まで行き、そこからバスで福島県の山奥の高原にあるブリティッシュ・ヒルズを見学します。ここは東京の外国語学校が開設した英語の学習用施設で、日本にいながら建物、講師、風景などが本場イギリスそのものに作られているというところです。
観光客は別ですが、生徒さんや関係者は原則として敷地内では日本語厳禁で英語のみで会話します。日本にいても英語付けの環境が整っていることがセールスポイントです。
観光的な要素としては、風景がヨーロッパ風であることと、施設内の建物や調度品がすべてイギリスの職人さんによって手がけられた高価で価値のあるもので揃えられているため、これらの見学が主体になります。
ちなみに写真の床に敷かれている丸い絨毯は、バブル時の価格ですが、購入当時は1枚で1億円したそうです。この他にも贅沢の限りを尽くしたコレクションをいろいろ見られます。
ブリティッシュ・ヒルズ内は映画『ハリー・ポッター』の世界そのものといった感じで、まさにイギリスにいるかのような風景が展開します。食堂もハリー・ポッターのホグワーツ学校と同じように、上に教授、下に生徒が並んで座る形式で雰囲気はばっちり英国に浸れます。
廊下の所々には昭和天皇をはじめとした皇室の方々の肖像画が掛けられていて、こちらもお召し列車に相応しいハイグレード感が漂います。
ここで気分を盛り上げ昼食を摂ってから、いよいよハイグレード列車「E655系」に乗り込みます。
ハイグレード列車には新白河駅から上野駅までの東北本線(在来線)区間に乗車します。列車自体は同日に帰京する1泊コースの人を乗せてくるため、郡山駅からやって来ます。新白河駅には5分間停車し、ここで我々を乗せて上野まで向かうという予定です。
あらかじめホームに列車が止まっていて記念撮影するといった流れではないため、座席の方は母に任せて、私は新白河駅のホーム端に移動してカメラを構えてハイグレード列車を待ちます。
沿線は鉄道マニアがたくさんカメラを構えていましたが、新白河駅は良い撮影ポイントではないためか人が少なくて助かりました。
新白河駅の案内板にはこの列車の情報は全く掲載されていません。団体専用列車があることもわからない状態です。
※14:00発黒磯行き普通と15:03発黒磯行き普通との間、14:12発の上り列車としてハイグレード列車が設定されています。
また行きの新幹線は切符がありましたが、ハイグレード列車乗車用の切符は配布されませんでした。座席の指定番号を書いた紙と、上野駅から東京都区内各駅への帰りの切符(団体旅客乗車票)のみでの乗車です。特別な列車なので切符の発券ができない(必要がないため登録されていない)のかもしれません。
14時過ぎ。直線の彼方からハイグレード列車がやって来ました。
3本の金帯が入ったダークブラウンの車体に高輝度の白いヘッドライトがまぶしいです。思ったよりゆっくりとした速度でホームに横付けになります。快晴の空から降り注ぐ太陽光に反射した車体は、濃い茶色から紫色へと、角度によって微妙に色が変わります。
列車がホームに差しかかった際に警笛を鳴らしたのですが、音は山手線や東海道線といった普通の通勤列車に使用されているものと変わらない今風の電子音でした。ハイグレードな音を期待していただけになんだかちょっとだけ拍子抜けです。
大急ぎで乗車ホームに戻り記念撮影をしてから乗り込みます。
ホームに止まった5両編成のE655系は、お召し列車そのもののようにピッカピカに磨かれて光っています。特に側面はまるで鏡のように光っていて、周囲の風景をすべて反射して映し込んでしまうほどです。見る角度によっては列車の車体や色が見えず、鏡を介して景色が左右対称になっているかのように見えます。SF映画で「光学迷彩」という、周囲の風景に溶け込ませて目に見えなくする未来の隠れ身の技術がありますが、それを実現したかのような綺麗さです。
写真を撮影しても、まるで鏡を撮っているような感覚でとても苦労しました。
後日、ビデオも掲載したいと思いますが、本当に列車が見えないような錯覚を覚えるシーンがあります。
車体側面に付いたフルカラーLEDの行き先表示器には「団体」の文字とともに、グリーン車のマークと号車番号が表示されています。列車名や行き先の上野はどこにも書かれていません。このあたりも特殊な列車を演出しています。
14時12分。定刻通りに発車です。
発車は驚くほど滑らかです。いきなりハイグレードの出来映えを見せつけられました。
発車時の揺れは全くありません。大げさな例え方かもしれませんが、鉛筆を立てて置いたとしても転ばないでそのまま走り出していく、そんな感じです。気をつけていないと、いつ走り出したかわからないほどスムーズなのです。今までいろんな列車に乗ってきましたが、新幹線を含めてこれほど完璧な発車は体感したことがありませんでした。
これは新白河駅だけでなく、宇都宮駅(運転停車)、大宮駅でも全く同じでしたので、運転士さんの腕前もあると思うのですが、列車の制御技術もそれなりのものだと思います。正直、発車だけでもハイグレード感は十分味わえました。
さあ、これから2時間45分間の豪華ハイグレード列車の旅が始まります。
明日は車内の模様をお伝えしようと思います。お楽しみに!
車窓百景(15)~秋田内陸縦貫鉄道(その5)
5回にわたった内陸線もいよいよ最終回です。晩秋の山間部は陽がつるべ落とし。一気に黄昏時になってしまいました。
こちらの田んぼには北海道の牧草地のように、藁を白いビニールで覆っているところがありました。
松葉駅からは旧国鉄角館線だった区間です。乗客も通学の高校生や家に帰る地元の方の割合が増えてきます。
すっかり暗くなってしまった頃、ようやく秋田新幹線も走る田沢湖線が合流して角館駅に到着です。今日は1日内陸線を堪能しました。
角館は武家屋敷で有名なところです。駅前には観光案内所などがある「駅前蔵」がありました。ライトアップされていて綺麗です。
秋田まで秋田新幹線で行き、そこから寝台特急「あけぼの号」で帰京です。1日に2回も寝台特急に乗ることができてうれしいです。あけぼの号は個室や寝台料金不要のゴロンとシート、レディース専用シートなどが連結されている便利な列車です。
B寝台個室ソロの部屋に潜り込むと、窓の外には夜の羽越本線の車窓が広がります。