車窓百景(2)~東海道新幹線N700系
22日に大阪の鉄道模型店の開店に行く時に、ようやくN700系のぞみ号に乗ることができました。
当初は1番列車の指定券も持っていたのですが、仕事の都合で泣く泣くキャンセルして以来、初めてのチャンスです。
乗車したのは東京発6:00の「のぞみ1号」博多行き。直前を走る品川始発の「のぞみ99号」と合わせて、現行ダイヤでは東京~博多間の最速列車です。今回は東京~京都間に乗車しました。
東海道新幹線は、私にとっては、一番利用している特急列車です。もともと名古屋で生まれ育ち、両親の実家が静岡にあり、社会人になってからは東京で暮らし、いまでは趣味の鉄道模型で大阪に遊びに行くこともあり、仕事に、趣味に、帰省に、夏休みの旅行に、とにかく物心ついた時からJR(国鉄)の特急に乗ると言えば、それは東海道新幹線でした。
軽く100回以上は乗っていると思いますし、現在でも平均すれば月に1回は乗ります。車両も0系の頃から100系、300系、500系、700系と、いずれの車両にも何回も乗っています。
昔は食堂車があったり、2階建ての新幹線が走ったり、一時期は乗客が減少してこだま号が12両編成になったり、バブルになったらシンデレラエクスプレスなんて言われたりと、様々な変化がありましたが、最新の話題はなんと言ってもN700系でしょう。
N700系は今年7月に登場した東海道新幹線の最新鋭車両です。開発コンセプトは「最良」。
JR東日本や西日本の新幹線と違い、東海道新幹線ではカーブのきつさや騒音対策などから、300系以来これ以上のスピードアップは無理とされています。東海道新幹線の車両は700系で完成されたとも言われていたのですが、そんな中登場したのが今回のN700系になります。
N700系の最高速度は時速300Kmですが、これは山陽新幹線の区間の話で、東京~新大阪では従来通り時速270Kmになります。しかし、カーブでは車体を1度傾斜させて走行したり、加速減速性能を向上させたことによって、東京~新大阪間の所要時間が5分間短縮し2時間25分になりました。
また、全車禁煙、省エネルギー、車内の静粛性の向上、車内でのインターネット対応(まだサービスは開始されていません)、座席の改良による居住性の向上等、「最良」に向けて様々な改良が施されています。
これらN700系の良さは乗ってみると初めてわかります。文章や映像では極めて表現しにくいものばかりです。
今回乗ってみての感想は「すごい車両が登場した」です。N700系はものすごく良い列車です。何年も東海道新幹線に乗っていて、300系の登場以来、久しぶりに興奮しました。まさに最高峰。世界に誇れる列車です。
いままで新鋭車両と言えば、速度アップだったり、エクステリア(外観)のデザインだったり、特別なサービスだったりしたと思います。N700系が目指した「最良」は、そのどれとも異なります。
到達時間の5分短縮ははっきり言ってあまり意味がありません。多くの人がそう感じている通りだと思います。ところが快適さは格段にアップしています。5分短縮は快適さを追求したら副作用としてそうなったに過ぎないと表現しても良いと思います。
一番驚いたのは、新横浜駅を出ると名古屋駅までほぼ一定の速度で走り続けることです。距離にして約330Km。この間地上を等速運動をし続ける物体は、いままで地球上に存在しなかったのだということを改めて認識させられました。従来の新幹線や列車、バスや自動車は、常に細かく加減速を繰り返しているのです。非常に変な例えですが、地上を航空機で走っているような、そんな感覚がN700系の走りだと言えるでしょう。
N700系は他のどの車両とも違います。これがリニア(線形)運動だということを体感できるのです。いつも乗り慣れていると座っている腰のリズムが狂ってきます。むずむずするというか、そんな感じさえ受けるほどでした。
駅に停車する際も、ホームの端に列車の先頭がかかるまでは、1段階ブレーキで極めてスムーズに減速していきます。驚異的に滑らかなブレーキングで人間では到底できない芸当だとわかります。※東海道新幹線では実際に、高速域でのブレーキ操作は運転手ではなくコンピュータが行います。
700系では加減速のために、たまにごく軽くですが前後動のショックが起こります。また加速やブレーキの開放などで、インバータ等の制御機器がヒューンといった動作音を立てるのですが、N700系ではほとんどありません。本当に一定の動作で淡々と景色が流れていきます。大げさな表現ですが、これが物理の運動方程式だ、これが加速曲線だ、といったことを体感できる乗り物なのです。このため揺れが少なく、静かで、とても快適に目的地に着くことができます。
今回の乗車で私が認識できた駅以外の減速ポイント(等速運動ではなく加減速を行ったと思われる箇所)は、熱海駅通過(ホームが線路に面しているため速度制限がある)、三島駅付近、浜松駅付近、木曽川橋梁付近(ここは通常は減速しないので先行列車との関係等でATCからの指示があったのだと思います)の4カ所だけでした。
正直なところ、今回の改良はもうマニアックな域に達していると思います。リピーターでしかわからない領域です。
逆にリピータにとっては700系との差は歴然です。もう700系には乗りたくないと思うほどでした。ましてや他社の新幹線なんてとんでもない!という気すらしています。
それは窓側席にはすべてコンセントがあるとか、デッキが静かなので携帯電話で普通に話ができるとか、電光掲示板が大きくなってニュースが見やすくなったとか、窓側席ではエアコンの吹き出し口があって調整が効くようになった(これは暑かった人、寒かった人の両方にとても有効でした!)とか、本当に些細なことの集まりです。
シートの座り心地も改良されていますがN700系だけではわかりませんでした。帰りに700系に乗った時に、堅くて腰が痛いなあと感じて、はっとN700系の素晴らしさに気がつく程度のことばかりです。
サービスが円熟したからできたことでしょうし、限界のその先を目指したからできたのかもしれません。いずれにしても、従来の列車でここまで踏み込んだ車両はなかったことは事実です。
N700系は初めてハードウェアで「サービス」という言葉に挑戦した車両だと思います。間違いなく世界で最高峰の車両です。感動しました。
さて車窓の動画です。
今回は新横浜駅出発から約5分間。ものすごい勢いで加速していく新幹線の車窓です。
残念ながらこの区間は景色が悪いです。住宅地でもあり、防音壁や切り通しなどで、風景はほとんど楽しめません。それでもちらっと見える景色が一瞬で過ぎ去っていく様子は、在来線では見られないものです。
N700系は性能上は180秒で最高速度の270Km/hまで加速できます。最速列車であること、新横浜発車後は一気に最高速まで加速する区間であることを考慮して、この車窓を選びました。もっと景色の良いところはまた別の機会に紹介します。
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