12 月 19, 2008

ワイドビュー特急キハ85系

カテゴリー: JR Japan Railway company group, 国内旅行 domestic travel — しっぽしゃっぽ @ 9:43 pm

久しぶりに鉄道車両の紹介です。
JR東海の特急用ディーゼルカー「キハ85系」です。
特急「ワイドビューひだ号」と「ワイドビュー南紀号」に使用されています。
この車両は在来線の列車の中では、個人的に最も好きな車両で、みなさんにもぜひ乗車をおすすめしたい列車です。

キハ85系南紀号

キハ85系の魅力は

(1)ワイドビューの名前の通り、大きな車窓から景色が楽しめる。
(2)走っている区間の景色がとても綺麗。山あり、海あり、世界遺産あり。
(3)座席が良く乗り心地が非常に良い。特に普通車(指定席・自由席)が秀逸。
(4)高速で安定した走行性能。
(5)閑散期の短い編成から多客期の長編成まで、多様で効率的な車両運用が可能。

といったところでしょうか。

キハ85系南紀号

(1)の車窓ですが、窓が大きいだけでなく、座席の位置も高くなっています。
車内に入ると通路がありますが、座席はすべて通路よりも一段高い位置に設置されているのです。座ると肘掛けの位置(座った足の上面の位置)が窓の下端になります。
ですので窓側の席に座ると、視界を遮るものがほとんどなく、素晴らしい展望が楽しめます。これは編成全体のどこでも全席がそうです。
展望車両のように一部の座席の展望が凄いというわけではなく、すべての座席が平等に眺望を楽しめる構造になっています。
たぶん「ワイドビュー」というのは元々そういう意味で付けられたのではないかと思いますが、展望車のイメージが強いため、誤解している人もいると思います。キハ85系は全席ワイドビューなんです。
また前の座席との間隔が比較的広いため、開放感があります。
キハ85系の窓は、前後2列で1枚の大きな窓が割り当てられているので、座席番号によっては、前方に窓枠が来るケースがあります。これは他の列車でも同様ですが、こういう座席でもそれほど視界を遮られる感じはしないと思います。
また最初の写真のような非貫通型の先頭車車両の運転席後ろの座席では、横に加えて前方の展望も楽しめます。運転席にはサンルーフがついていますので、本当に広々とした感じです。

キハ85系南紀号

こうしたワイドビューとの組合せで見る(2)の景色は素晴らしいです。キハ85系が走る区間には、日本の鉄道車窓の良い点がぎっしりと詰まっています。
ワイドビューひだ号(大阪・名古屋~高山・富山)では、川と峡谷、山間部と日本の原風景を見ることができす。
国宝である犬山城を見て、まるでドイツのライン川のような景色が見られる木曽川の日本ラインに沿って走り、奇岩と絶壁が続く飛水峡を越え、中山七里ではダム湖横をまるで湖の上を滑るように進んでいきます。川の両側に広がる日本三名泉のひとつ下呂温泉に停車した後は、トンネルを抜けて山間部の農村を見ながら世界遺産「白川郷」の入口、古い町並みで有名な高山へ。その後も北アルプスを眺めながら、越中おわら風の盆で有名な八尾を通って、立山連峰が聳える富山まで。1回で乗ってしまうには惜しいほどの内容です。

高山の古い町並み

キハ85系の先頭車両にはヘッドマークがついています。
ワイドビューひだ号のヘッドマークは、飛騨の合掌造りの家のシルエットです。

高山で売られている焼きたてのせんべい

一方のワイドビュー南紀号(名古屋~紀伊勝浦)では、美しい海岸線と白浜が見える海と山、そして都市近郊部の平野が見どころです。
海抜ゼロメートル地帯を走り地上駅では日本一低い場所にある駅を通過します。木曽・長良・揖斐の大河を次々と渡り、田園風景と都市部が交じる近郊区間を過ぎると伊勢神宮の玄関口。車内販売で松阪牛の香り楽しんでいるうちに山間部に入ります。急な坂を下ると、ぱっと視界が開けて青い海原が見える一瞬は感動ものです。(紀伊勝浦行きの場合)右手には世界遺産の熊野古道が通る山々を、左手には海の間に漁村や白い砂浜を見ながら走ります。新宮を過ぎるとどこまでも続く海の横を通ります。ご神体でもある那智の滝の最寄り駅である那智駅を通過すると、鮪や鯨で有名な終着勝浦。本州最南端はもう目の前です。
こちらも1回では全部を楽しむことはとてもできません。

那智の滝

ワイドビュー南紀号のヘッドマークは、この那智の滝のシルエットになっています。

南国ムード溢れる紀伊勝浦駅

こうして書いてみると、多数の日本らしい観光資源がずらりと並んでいることがわかります。この車窓があるからこそワイドビューだとも言えるでしょう。
特急列車の系統としては名古屋駅で分かれていますが、どちらもキハ85系が走ります。

熊野古道

つづいて(3)は、個人的にはとても大切な点だと思っています。
先ほど全席ワイドビューと書きましたが、キハ85系は普通車にこそ、その良さがあるのだと感じています。
南紀号には定期便にはグリーン車はないのですが(昔はあったと思うのですが、いつの間にか連結されなくなっていた)、ひだ号にはグリーン車があります。グリーン車も良いのですが、正直なところ、この列車に限っては普通車でもグリーン車でも差がないと感じるほど普通車の座席が良いのです。全席グリーン席に近いという表現が正しいかもしれません。
普通車でも座席の位置が高く、前後の席の間隔が広めに取られているため、ゆったり感があります。
ディーゼルカーですのでエンジンの響きや振動があるのですが、座席位置が高いためか、びりびりとした感触はなく非常に快適です。
変な言い方ですが、JR在来線ではハイエンドの普通車だと思います。
普通車が良いということは、自由席でも快適な旅ができるということで、これはお得です。
どちらの特急も観光地だらけなので、何回か乗車しようという気になることもポイントではないでしょうか。リピーターになりたくなる列車なんです。

勝浦の漁港

(4)と(5)は車両そのものについてです。
キハ85系という列車は、意外に古くて平成元年(1989年)に登場した車両です。走り始めてもう20年経つことになります。
国鉄の後を引き継いだJR東海として、初めての新形式がこのキハ85系です。
しかし今乗ってみても古い印象はありません。そこがキハ85系の優れている点だと思います。
時代を超えて通用するものを作ることは大変です。キハ85系は今日乗っても、古くささも不快感もありません。実は凄い車両なのではないかと認識を新たにしたのは21世紀になってからです。長年通用するということは、エコでもあり、経済的にも有利ですので、経営を安定化させるのではないでしょうか。

高山陣屋

この列車が最初に登場したのは高山本線。「メタモルフォーゼ高山線」というキャッチフレーズとともに「ワイドビューひだ号」として走り始めました。
米国製の高出力エンジンを搭載していて、加速力や速度はディーゼル列車とは思えないほど良く、まるで電車特急のようだと感じたことを覚えています。いまでもスムーズな走りは健在で、車体傾斜こそしませんが、山間部のカーブが続く路線を颯爽と走り抜けていきます。
ひだ号、南紀号とも終点まではかなり遠く時間がかかっていましたが、キハ85系になってから大幅に到達時間が短縮されました。
「メタモルフォーゼ」とは変身という意味ですが、本線の名前がついているにも関わらず、それまでは古くて遅いローカル線のイメージだった高山本線は、まさに変身をとげたと思います。沿線の観光設備も充実しており、日本有数の観光地として賑わっています。

高山駅

この列車の登場によって、沿線の地域交通も改善されたように思います。特に高山本線は列車の本数が増えました。観光客だけでなく地域の輸送と、南紀号の多気辺りまではビジネス客の輸送も担っているように思います。
気動車は電車とは違って、比較的柔軟に車両編成を組み替えることができるメリットがあります。キハ85系でもその点を活かして、繁忙期には9両編成のように大量輸送ができ、逆に閑散期には3両程度まで編成を短くして経済的な効率を高めています。
ひだ号では高山までの利用者が多く、高山-富山間では少なくなる(名古屋-富山間には北陸線経由で電車の「しらさぎ号」も走っている)ので、高山駅で後ろの編成を切り離して運行されています。

紀伊勝浦駅前の風景

今日では平行する高速道路が全線開通し、バスなどのライバルも増えてきました。登場から20年経って競合は増えましたが、それだけ沿線の活気が溢れるということですので、これからも負けないように頑張って欲しいと思います。

那智の火祭り

キハ85系は、鉄道ファンを含めていまひとつ受けが悪いようにも感じています。
JRの宣伝ではありませんが、個人的には車両としては在来線ナンバーワンの列車だと思いますので、このいまいちマイナーな特急に興味をもっていただければという思いです。
残念ながら車内サービスが特別凄いといったようなことはないのですが、日中は車掌さんが放送で沿線の観光案内もしてくれます。

紀伊勝浦駅の通路にある観光案内

キハ85系があまり人気がない(ような気がする)理由は、なんとなくわかります。
ディーゼルカーであること、カラーリンクがどうも地味であること、スタイルに奇抜性がないこと、などではないかと憶測しています。
JR東海のカラーリングは基本的に統一されているので、ぱっと見ただけではどの特急かわかりにくいし、写真に撮ってもあまり変わり映えがしないことは理解できます。
東京駅では様々な色の特急や通勤列車が来るのに、名古屋駅ではみんなオレンジのラインが入った車両ですから。

キハ85系ひだ号

それでふと気がついたのですが、一般の人の列車に対するイメージは「見た目」や「速度感」等が重視されているんですね。ある意味当然だと思います。
鉄道ファンにもいろいろな種類があって、私のように乗って旅行することが好きな「乗り鉄」は、わりと数が少ないように感じています。
SLや鉄道のイベントでも写真を撮ったり、駅にいる人は多いけれど、車内はけっこう空いていたりすることが、ままあります。
私がキハ85系が好きな理由は「乗り鉄」だからです。この列車の魅力は乗ってみると実感できるのです。

キハ85系ひだ号

地方でイベントがあった時、列車をはじめとして公共交通機関で行く方が、その地域により多くの経済効果をもたらします。自家用車で行く人の倍以上になるという調査もあるようです。
公共公機関を使えば、運賃は地元の会社にお金が入りますし、駅で記念品や駅弁を買ったり、地元の商店で食事したりお土産を買ったりしても、地域にお金が入ります。
これから高齢化社会になり、全ての人が自分で車を運転できる状況ではなくなってきます。地域の公共交通の重要性は増していくと思います。
その時に鉄道が選択肢として残っているように、毎回でなくていいですので、列車に乗って観光に行っていただきたいと思います。環境にも優しいですよ。

勝浦での鮪の水揚げ

ワイドビューひだ号、南紀号ともに、名古屋駅で乗り換えです。上下とも新幹線に接続していますのでスムーズに乗り換えできます。
東海道新幹線から名古屋駅でひだ号、南紀号に当日に乗り継ぐ切符を通しで買うと、乗継ぎ割引が適用されてひだ号、南紀号の特急料金と指定席料金が半額になります。帰りに限って(ひだ号、南紀号から新幹線への乗継ぎ)は名古屋で一泊して翌日の乗継ぎでも割引になります。

キハ85系行き先表示器

東京からのぞみ号でこの割引を利用して、通常期の片道大人一人(普通車指定席)のお値段は、
飛騨古川まで:15,660円
高山まで:14,500円
下呂まで:13,500円
紀伊勝浦まで:15,930円
新宮まで:15,620円
熊野市まで:15,300円
松阪まで:13,150円
です。上記金額より、多客期には200円高く、閑散期には200円安くなります。
その他、お得なきっぷや周遊きっぷの「飛騨・奥飛騨ゾーン」「南紀ゾーン」も利用できますので、旅行代理店に相談してみてはいかがでしょうか。

キハ85系南紀号

11 月 14, 2008

満州遙かなり(7)最終回

カテゴリー: 旅行 travel, 海外 abroad railway, 海外旅行 abroad travel, 鉄道 railway — しっぽしゃっぽ @ 8:27 pm

大連は街の中は晴れているのですが、港に行くとびっくりするほどの霧が出ていました。
一瞬先何も見えないくらいの濃い霧です。船乗りさんも怖いのではないかと思います。

大連港のタワーから見渡しますが、何も見えませんでした。残念です。
近くの貨物船には列車で運んできた荷物を積んでいるようでした。港のすぐ近くまで貨物列車が来る光景はいいですね。

満州国時代には星が浦と呼ばれていた、星海公園に行ってみます。ここも霧です。
遊園地になっていて、人々が遊んでいますが、海岸線は真っ白。

星海公園から近くに、初回に紹介した星海広場があります。

大連市の市政100周年を記念して、足跡が付いたモニュメントが置かれています。
子供から老人まで、様々な人の足跡を付けたと、石碑には日本語での案内文もありました。

大連港周辺は晴れていれば、すごく大きな港全体が見渡せます。
快晴の日、飛行機の中から見た大連港です。港の入口には船がいっぱいです。綺麗に並んでいます。

港が見えないとつまらないので、市内を観光します。
大連ヤマトホテル。中山広場の脇に当時のまま建っています。

瀋陽のホテルと違い、日本からの観光客が多かったです。
ちょっとの間に旅行会社の大型ツアーが何組も来ては去っていきます。

中庭には喫茶店がありました。

こちらも当時の写真が掲載されています。

中山広場から見た大連市街。高層ビル群が建ち並びます。

駅前近くの繁華街の様子。
繁華街を歩いているとなんだかとても懐かしい気分になります。しばらくして理由がわかりました。
日本の昭和50年代くらいの雰囲気と熱情に似ているのです。活気があって、賑やかで、かといってあまり統制されているわけでもなく、勢いがある時代。そんな感じが漂っています。
小学生の時、父や母と一緒に出かけた週末の繁華街を思い出します。良い時代だっなあと感じることは、私が年をとったということです。
でも、そんなノスタルジーを求めている方は、いまの中国がお勧めです。
自由で活気があって平和なのです。かつての古くさい姿はもうありません。

翌日も霧は晴れませんでしたが、旅順まで足を伸ばしました。
旅順は今でもロシアの支配下にある土地で、外国人向けの観光ツアーでないと入れません。ツアーは大連からたくさん出ています。
マイクロバスで203高地に向かいます。

203高地はその名の通り、高い山です。
本来ならここから旅順港が一望できるのですが、ご覧のように霧の中でした。

かすかに地上が見えるときもありましたが、すぐに霧が覆い隠してしまいます。
戦争をしのぶものが山頂に置かれています。
激戦があったとは思えないくらい、今は静かな佇まいです。

この後、旅順港、旅順駅にも行きました。
旅順は写真撮影が一切認められていないので、心のフィルムにだけ記録されています。
お見せすることはできませんが、旅順駅はとても旅情感のある駅でした。ロシア風の建物に、道路を挟んですぐ前が旅順港です。そこには今も軍艦が停泊していました。

さて乗り鉄です。
大連に帰って、市内のトラムに乗ります。

大連にはいくつかの路線があって、旅順へ向かう途中の郊外に向かう路線と、大連市内を走る路線に乗りました。

郊外に向かう路線は、まさにトラムという言葉が似合います。LRTのような最新式の車体で、緑化された専用軌道を走っています。

沿線には市街を抜けて、星海広場、星海公園の側を通り、企業の進出するエリアを通って、やがて海沿いの郊外へと続きます。
ラッシュ時には通勤客で満員です。

車内は清潔でとても綺麗でした。これも中国のイメージが変わる乗り物だと思います。

一方の市内線は、対照的にレトロな車両が多く走っています。
こちらはチンチン電車という言葉が似合うと思います。たまにLRTの最新式もやってきますが、ほとんどが昔ながらのレトロ電車でした。

車内も木でできています。ドアのフックも金具だったりして、昔ながらの車両がそのまま活躍しています。

両方をひとつの都市で楽しめるのは、鉄道ファンにとっても喜ばしいことです。
色は緑と赤があるようでした。ちなみに路面電車の運転士さんはすべて女性です。
中国は女性も第一線で大活躍しています。

今回の旅行は旧南満州鉄道というテーマでしたが、一番知ってもらいたいのは現代の中国です。
それはセピア色ではなく、華やかな原色の国でした。人間が多く、いろいろな面があり、地域によっても異なりますが、中国は確実に急成長しています。
海外の中では今行って確実に面白い国だと言えるでしょう。
特に中国があまり好きでなかった人、これまで悪いイメージを持っていった方には、ぜひ行っていただきたいと思います。

最後に帰りの大連空港でのエピソードをひとつ。
チェックインして空港内のお土産物屋さんを散策していたときのこと。つい数年前まではあまり買う気を起こすようなものさえ陳列されていなかった場所です。
綺麗な女性の店員さんが私にさっと近づいてきて、売り物のお菓子をひとつ、丁寧に包みを外して手をしてくれたのです。
「試しにおひとついかがですか?」
中国語ですが、彼女は確かにそう言ってにっこりと微笑んだのです。
衝撃を受けました。それは今までのこの国ではあり得ない光景だったからです。

まだ一部かもしれません。でも首都北京でない場所で、こういう接客が普通にできること。
明らかに中国は進化しています。前に進もうという強烈な意識を感じました。
その気になれば、人や国は変わることができる。未来に向かって努力している国が、すぐ近くにあることをとてもうれしく感じた旅行でした。

11 月 10, 2008

満州遙かなり(6)

カテゴリー: 旅行 travel, 海外 abroad railway, 海外旅行 abroad travel, 鉄道 railway — しっぽしゃっぽ @ 9:00 am

瀋陽は瀋水という川が都市の南を流れることから付いた名前です。
瀋水はホテルの近くを流れていました。

本日の列車旅は一気に大連まで移動します。
瀋陽北駅は朝から大変賑わっていました。

この駅は売店が多く、駅の通路にはたくさんの品物が並んでいます。

ところが私の乗る列車の待合室は、これまでと比較すると若干人が少ないようです。

改札口にもまだ誰も並んでいません。

インフォメーションを流すモニターも、ここでは営業していました。
携帯電話用ゲームのダウンロードの広告のようです。国が変わっても現代ですね。日本でも見たことがあるアニメの作品が写っています。

改札が始まったのでホームに降ります。
列車がたくさん停まっています。駅だなあという雰囲気です。
ここ瀋陽北駅では、北京方面への線路と大連方面への線路が分岐するので、このように多くの列車が集まるターミナルになっています。

こちらが本日の列車。
二階建と平屋の車両の混成編成です。適当に繋いだのか、でこぼこ編成ですね。

今回の列車は軟座(1等、グリーン車相当)です。
T536次新空調軟座特快の大連行き。乗車時間が約4時間と長いので軟座にしました。
瀋陽北始発で、瀋陽、鞍山、大石橋、大連の順に停まっていきます。

先頭の機関車もやや旧式タイプで、客車の列車という雰囲気があって良いです。

先に隣のホームから普通列車が発車していきます。

駅員さんと売店の売り子さんが列車を見送ります。

向こうのホームにはCRHが。今日は2編成を繋いでいるようです。

軟座の車内のご案内です。
私の車両は2階建て車両の2階席でしたが、2階は人がいっぱいでしたので、がらがらの1階の席の写真です。

こちらは平屋の客車の軟座席です。
硬座とあまり変わらないですよね。そうなんです。そんなに違いはありません。
新空調特快の場合には、ちょっとシートとカバーが掛けられている程度の差なのです。

写真をご覧いただいてわかるように、この列車はかなり空いています。
2階席はさすがにほぼ満席ですが、1階席と平屋の車両は空席が目立ちます。中国では珍しいです。今まで乗った列車で一番空いていました。

理由はCRHにあるのではないかと思います。
瀋陽北駅からはCRHで北京に直通で行けます。対して、大連方面へ行く乗客は少ないのだと思います。今も幹線であることは確かですが、北京行きに比べると、明らかに輸送密度は低いです。
日本でも新幹線ができると、在来線の駅が寂れるということはありますが、交通が人の流れを握っているのだなと思います。

空席が目立つまま発車です。
連続して次の瀋陽駅に停車するので、ゆっくりと走ります。
立体交差で北京方面行きのレールが分かれていきます。ちょうど北京行きのCRHがクロスして走り去っていきました。
瀋陽北駅は1990年代にできたばかりの新しい駅なのです。それまでは瀋陽駅や、瀋陽南駅が、この都市の中心的な駅でした。瀋陽北駅は、日本で言う新幹線の「新○○」のような駅なのかもしれません。

しかし、鉄道旅行好きにとってはこの列車が一番でした。

人が少ないので、車内をある程度自由に動けるようになって、左右の景色を見ることができるようになり本領発揮です。
やはり旅情感ある旅というのは、超満員では困ります。適度な人員が乗っているという状態がベストです。贅沢なことですが。

瀋陽駅を出ると、これまでとは少しずつ車窓が変わってきます。
広大な農地は相変わらずですが、山並みや荒野が見え隠れするようになります。

ここで時刻表の話をしたいと思います。
私は中国語は話せません。ではなぜ乗る列車や停車駅がわかるのかというと、時刻表で調べているからです。日本で乗り鉄をする時と同じです。

写真が中国の時刻表です。駅の売店等で普通に売られています。
日本のJRやJTBの時刻表と比較すると、圧倒的に薄くて小さいです。サイズはA5版のハンドブックですから、持ち運びには便利です。これで中国国鉄全線を網羅しています。
つまり、中国は旅客列車が極めて少ないのです。

中身はこんな感じです。だいたい1路線に付き、特快も快速も普客も、1日1本から数本しかないことがわかります。幹線でも数時間おきです。すべての路線がローカル線のようなのです。
時刻表はすべて中国語で書かれています。が、漢字であることと、見た目や読み方は日本の時刻表とほとんど同じですので、鉄道ファンなら何の苦労もなく読めます。全く違和感なく読めました。
最初の方に全国の路線図があって、次に特急だけの索引ページがあって、その後に各路線ごとの細かな時刻が掲載されているという順番も同じです。

駅や列車の見方も同じ。逆に駅数が少なく、各駅に到着時刻と発車時刻が書いてあるので便利です。
列車の運行時刻ですが、意外と正確です。分単位とはまでは行きませんが、概ね時刻通りに運行されます。ただ、たまに何かあると大きく30分とか遅延することもあります。

今回の旅行では、遅れた列車はこのT536次の大連行き特快だけでした。大連到着時に20分程度遅れただけです。

鞍山駅に停車。
ちょっと後ろの方の車両に移動してみます。

一番後ろは客車がぽつんと途切れているだけです。
すぐ下の線路と連結器が見えます。

すごい速度でどんどん景色が過ぎ去っていきます。日本の列車ではこういう光景は見られなくなりつつありますので面白く、ついつい見入ってしまいます。

地平線まで電化複線のレールが続いています。
すれ違う列車は多いのですが、ほとんどが貨物列車でした。
写真はタイミング良く走ってきた旅客列車。快速だと思われます。

支線からの普通列車を追い越したり(運悪く信号機が写ってしまいました)、いくつもの駅を通過して進みます。
なかなか停まらないので、特急列車だということを実感できます。

9時42分。大石橋駅に到着です。
向かいのホームには、瀋陽北を先に出発した快速が待っています。
この駅で接続して、特快のこちらが先に発車します。

大石橋を出ると本格的な山岳路線になります。既に遼東半島の一部に入ったことをうかがわせます。
哈爾浜からずっと続いてきた広大な中国といった風景とはさよならし、だんだんと山が迫ってきます。

気がつくと、線路は左右に激しくカーブを切りながら、険しい山を登っているのです。

集落も農村に代わり、牧歌的なムードが漂います。

川辺で水浴びをしている牛なども見られました。

通過する駅も、どこか田舎の駅といった雰囲気です。
瀋陽までに通過してきた駅とは趣が異なっています。

峠を越えて、少しずつ視界が開けてくると、向こうに新しい高架の近郊線が見えてきます。
大連に近づきました。

建物が増え、周囲が再び都市になってくると終着大連です。
大きな構内にたくさんの列車が見えます。
哈爾浜からの1000Km近い旅も終わりです。

大連駅に終着しました。
人々が列車から波のように吐き出されていきます。

列車の大きさを実感していただくために、ホームに止まっていたトラックと比較撮影してみました。
2階建て車両はこんなに大きいのです。2階建てでも圧迫感はありません。普通の車両が縦にならんでいる感じです。

大連駅。日本の上野駅を模して建てられた駅ですので、雰囲気が似ています。
これまでの中国の駅とは明らかに異質な印象を受けます。

駅前は同じく高層ビルが建ち並ぶ大都会。人もものすごく大勢いて賑わっています。

ちょうど哈爾浜行きの長距離バスが出るところでした。
今から私が辿ってきたルートを逆に走って哈爾浜まで行くのでしょう。

鉄道の旅はこれで終わりではありません。
大連を観光してから、まだ鉄道に乗ります。

11 月 9, 2008

満州遙かなり(5)

カテゴリー: 旅行 travel, 海外 abroad railway, 海外旅行 abroad travel, 鉄道 railway — しっぽしゃっぽ @ 9:00 am

瀋陽は古都で、日本の京都や奈良のような都市です。遼寧省の省都でもあります。
満州国時代の名前は奉天でした。

大変歴史が古い町ですが、中でも有名なのは後の清朝となる後金を建国した皇帝ヌルハチ(太祖)です。
彼が建てた宮殿は、現在では世界遺産に指定されています。まずはその瀋陽故宮を訪ねてみます。

故宮は時代ごとに東院、中院、西院に分けられています。東院がヌルハチの時代、中院が第2代皇帝のホンタイジ(太宗)時代、西院は清の入関後に離宮として建てられた時代のものです。
最初は中院の崇政殿を見学です。中には玉座があります。

柱や屋根の装飾など、どれも見事なものばかりです。

門をくぐって東院に移動すると、正面に八角形の大政殿という建物があります。
これは世界にひとつしかない建築様式によって建てられたものらしいです。
柱には金の竜がいて、天に向かって昇っていくところです。

大政殿の前は大きな広場になっていて、観光客で溢れていました。
故宮の中は花がきれいに手入れされていて、とても明るい雰囲気です。

2時間ほど様々な建物を見て回りました。

一度外に出ると、近くに繁華街があります。
オリンピック開催の前でしたので、至る所にオリンピックの広告やタイアップの企業広告がありました。

コーラの缶もこんな感じで、おめでたい塗装になっています。

また瀋陽では地下鉄が工事中です。
この繁華街を通るようで、こちらも看板が立っています。

続いて、先ほどの清の第2代皇帝太宗の古墳「昭陵」を見学に行きます。
こちらも世界遺産に指定されています。
瀋陽市の北の方にあるので、北陵とも呼ばれているところです。

入口をくぐって、いきなりびっくり。遙か彼方まで広い道が続いています。
いったい古墳はどこ?
お墓まで中国の大きさを感じます。

どうやら古墳の入口まで1.5公里(=1.5キロ)あるようです。
電気自動車が何台か客待ちをしています(有料)。うーん、乗ってしまいました。
往復で3キロ。ここまでもさんざん歩いていますから、これはきついですよね。旅行で無理をしてもなんですし。

歩いている人もいるのですが、自転車に乗っている地元の人も多いです。
1.5キロの間は公園になっていて、池にボートが浮かんだりしています。
やっと入口です。

石畳の通路に、大きな筆で水の漢文を書いている人がいました。
さすが古都。こういう風景は他の都市では見られませんでした。

ここから先がまだ長いのです。

途中に塔のような建物がいくつかあります。

建物の下をトンネルで抜けると、ようやく古墳の前の宮殿に着きました。

周囲を高い壁でぐるりと囲まれています。しかし、ここに古墳があるわけではないのです。
階段で周囲の壁に昇ると、やっと見えました。
宮殿の向こう側に盛り上がった土の山が。あれがお墓です。

形は日本の古墳と同じような円墳ですが、山の頂上に大きな木が1本生えている点が異なります。
なんとなく死者の魂を表現しているようで、荘厳な雰囲気でした。

最後は街の中、旧満州時代の遺産である旧ヤマトホテルを見学します。
ヤマトホテルは南満州鉄道が経営していた高級ホテルチェーンで、ここ瀋陽以外にも主要な都市にはありました。哈爾浜、長春、大連、旅順などにも残っています。

瀋陽のヤマトホテル(奉天ヤマトホテル)の特徴は、現在もホテルとして宿泊できて、レストランなどを利用できることです。
文化遺産ではありますが、現在も普通にホテル(3ッ星)として残っているのです。

実際にここのレストランで食事をしましたが、かなり当時の状態のまま残っているのではないでしょうか。
私は満州を知らないのでわかりませんが、できるだけ昔の建物のままにしてあるという感じです。

ロビーには満州当時の写真などが飾られていて、観光用の資料も整備されています。

中国の歴代の偉人たちも実際に使用しているようで、壁には利用した偉人のリストが掲げられていました。
毛沢東や鄧小平にも利用されています。

ホテルの前は中山広場です。
ロータリーにはひっきりなしに車が通っています。
中国では基本的に歩行者よりも車が優先なので、ロータリーを渡るのには慣れが必要です。ずっと待っていても永遠に渡れませんので、車の流れを見ながら車道に出て行く勇気が必要です。

広場の真ん中には毛沢東さんの像が建っています。
市民には愛されている広場なのか、老若男女様々な人たちが集まっています。
太極拳のようなのもをする人たちや、昭陵でも見かけた水で漢文を描く人もいます。若者たちも大変多いです。

食事が済むとすっかり日が暮れました。
あたりは綺麗にライトアップされています。

昔、とあることで中国の迎賓館に泊ったことがあるのですが、その時は夜中に停電がありました。
今はどうでしょう。この煌びやかな街の灯り。時代は流れました。ものすごく発展しています。

中山広場の賑わいも相当なものです。

個人的に歴史もあって瀋陽はけっこう好きになりました。
友人や会社の人にはここでお土産のお菓子を買ったのですが、なかなかおいしかったです。

11 月 7, 2008

満州遙かなり(4)

カテゴリー: 旅行 travel, 海外 abroad railway, 海外旅行 abroad travel, 鉄道 railway — しっぽしゃっぽ @ 6:00 pm

※人が写っている写真では肖像権に配慮してぼかしをかけています。

首都新京を後にして、次は瀋陽に向かいます。
この区間はCRHに乗車しました。CRHでは長春の次の停車駅が瀋陽(駅は瀋陽北)ですので、わずか1駅間です。
しかし、乗車時間は約2時間もかかります。けっこう遠いのです。

朝の長春駅です。

駅の案内板を見てみましょう。私が乗るのは7時13分発の北京行きD24列車です。
列車番号先頭のDは高速列車であることを示していますが、右の方に車両がCRHで運行されることが表示されています(待合室の番号がCRH専用待合室と表示されている)。この列車はここ長春が始発駅です。

哈爾浜駅と同様にセキュリティに荷物を通してから待合室に向かいます。
CRHには専用の待合室が設けられていました。

中は広いです。哈爾浜駅よりも明るくて、広々とした雰囲気があります。
売店も壁が低く、明るいイメージです。

改札前。こんなに人が殺到します。
これ全員がCRHに乗る人です。

CRHが1番ホームに停まっています。
哈爾浜からの道中、扶余駅で抜かされたのと同型のタイプです。

先頭部にはCRHのロゴが輝いています。

車体横には「和階号」と大きく書かれています。
和階とは調和という意味だそうです。多民族国家の中国らしい名前ですね。
日本の「ひかり」「こだま」は速さをイメージした名前でしたが、「のぞみ」は和階号と同じように夢や未来を感じさせるネーミングです。そういう意味では21世紀の高速列車らしい名前ではないでしょうか。

乗車するのは2等車(普通指定席相当)です。
伝統的な軟座、硬座ではなく、車両にも2等と書かれています。

ドアはプラグドアです。これも従来の車両とは大きく違うイメージを演出するひとつになっています。

出発前の風景はどこの国も似たような感じですね。
見送りの人がいるということは入場券があるのでしょうか。あとからふと気がつきました。
数年前に中国の知り合いに駅で見送ってもらったときは、改札の中までは入れないからと言われて、待合室で見送ってもらった記憶があります。今度、中国に行った時には聞いてみようと思います。

人をどんどん飲み込んで、慌ただしく発車します。
加速は緩やかですが、ぐんぐんと速度を上げていきます。

2等車の車内はこんな感じです。
2-3配列のシートは、この前の特快と変わりません。座席は転換シートではないので、向きは変えられません。ヨーロッパでもそういう列車が普通です。
私は窓際は確保したのですが、進行方向は逆になってしまいました。

さすがCRHは圧倒的にきれいでスタイリッシュです。
シートにもCRHのロゴが入っています。

ドアの部分もカラーリンクがきれい。

デッキも落ち着いた感じです。
ここだけ見ればヨーロッパの車両そのままです。

CRHでは定番のお湯のサービスがありませんでした。代わりに飲料水のコーナーがありました(在来線でも給湯室があったように思います)。

車内販売もスマートです。アテンダントさんの制服や押しているワゴンまで違います。
ワゴンにもCRHのロゴが入っています。
こちらも定番のカップ麺はありませんでした。
なんとなく中国らしさがなくて、ちょっと残念な気持ちもありますが。

編成にはビュッフェもついています。カップ麺は実はビュッフェで食べることができます。
実際にたくさんの人が食べいたので撮影はできませんでした。
ビュッフェではカップ麺の他に、即席のレトルト料理で中華丼のようなものなど、本格的な食事もできますし、お土産も買うことができます。

ということでお土産を購入しました。中国鉄道トランプです。
SL、ディーゼル機関車、電気機関車、CRHを網羅していて、トランプ1枚1枚の絵柄になっています。
JOKERと表紙になっているCRHですが、走っている風景も列車もかっこいいのですが、肝心の車両と背景の建物の一部が切れてしまっている構図はいかがなものでしょうか。
日本の鉄道写真だったら、絶対に両方とも入れるような気がします。ここらへんはアバウトです。

座席には、ミネラルウォーターと雑誌のサービスもあります。
航空機と同じような感じです。
ミネラルウォーターにもCRHのロゴとVIPの文字が。

天気もようやく回復してきました。
車窓は相変わらず地平線まで続く広大な農地ですが、畑の向こう側に風力発電の風車が見えます。
やはり中国も変わってきました。

日本の新幹線と違う点は、効果ではなく地上を走ることと、在来線も一緒に走っているので常に最高速度で走るのではないということです。先行列車がいたり、信号待ちで遅くなったりもします。
こんな風に貨物列車を追い越すことも。
ちなみに中国は車は右側通行ですが、鉄道は左側通行で日本と同じです。

瀋陽北駅に到着です。
乗客の何割かが入れ替わりますが、ここから乗る人もこんなに多いのです。常に満員です。

瀋陽北駅の広々としたホームです。
乗客が乗り込んでもう発車直前です。やっぱりすべてのドアに係員が待機しています。