1 月 5, 2009

雪の秘境を行く(2)

カテゴリー: JR Japan Railway company group — しっぽしゃっぽ @ 9:00 am

酔狂な鉄道ファンだけを乗せて、今日はじめての岩泉行きの列車が発車します。

茂市駅を発車する岩泉線

すぐに山田線が左にカーブして離れていき、岩泉線はそのまま山並みに沿って直進します。
3つめの岩手和井内駅までは山間部に集落が続いています。早朝の区間便は、ここの人たちを宮古まで送り出すための列車であることが想像できます。

朝日に輝く山村

雪化粧した山並みが朝日に輝いてとても綺麗です。

山間部を行く

差し込む日差しに列車が巻き上げた雪が反射して、キラキラと輝くダイヤモンドダストになっていきます。
まるで列車の前に黄金のカーテンがあるようです。とても幻想的な風景なのですが、この時期でないと見られないでしょう。冬景色も良いものです。

光のカーテン

岩手和井内を過ぎると、左右の山がぐっと迫ってきて、一気に山奥に入ります。朝日が山に遮られてしまい、寒々とした林が続きます。
列車は速度を落として、急カーブの坂道をゆっくりゆっくりと登っていきます。かつて旧型車両だった時代は、よく列車が遅れていたそうです。
新しい車両になって、運転も楽になりダイヤも正確になったことでしょう。この列車は全く遅れることなく進んでいきます。

険しい山道を登る

いくつかのカーブを曲がると、突然山の中に停車します。秘境駅として全国にその名を轟かす押角駅です。メディアの紹介で一気に有名になりました。
ご覧のように駅前は全くの山そのものです。
ここで数人が下車しました。真冬なのでびっくりしましたが、同じマニアとして、行動は理解できます。折り返しのこの列車で戻るのでしょう。さすがにそれなりの装備をされているようです。
秘境駅とは言っても、今日に限ってはホームの上だけ賑わっていました。

押角駅

押角から先は、サミットを越えたのか、下り坂になります。
個人的にはここから先の車窓が岩泉線の醍醐味ではないかと思います。
山間部には大自然が残り、その中を小さな1両の列車だけが走っていきます。風景も独占です。
人工物が少ない中、1組の銀色のレールだけが延びいていく光景は、どこか心にぐっと迫るものがあるのです。

山間を走る列車

時折、少しだけ開けた場所には集落があって、そこにある小さな駅に停まっていきます。
駅それぞれに特徴があって、昔の給水塔が残る駅や、山肌にへばりつくようにして踏ん張っている駅など、変化が楽しめます。

二升石駅と朝日に輝く山並み

かつての給水塔

坂を下りきると終点岩泉駅です。
ホームと線路が1本ずつ。岩泉線全体が1本レールだけでできていることがわかります。
これでは1つの列車しか走れませんので、本数が少ないのでしょう。

岩泉駅

岩泉駅は立派な駅でした。コンクリート造りの駅舎がどんと構えています。
本線の駅としても恥ずかしくない大きな建物の上に、味わいのある赤い文字で「いわいずみ」と書かれています。

岩泉駅

近くには竜泉洞という鍾乳洞があって、バスも発着しています。
駅前もなかなか立派です。ここに1日3本しか列車が来ないとは想像できない駅でした。

岩泉駅前

しばらく停車した後、乗ってきた列車で茂市に折り返します。
一番うれしかったのは、帰り便(岩泉からの朝一番列車)は大量の乗客があったことです。
小学生の集団です。みんなで宮古まで買い物に行くのでしょうか。車内は突然、賑やかになりました。
小学生たちはみんなで集まって携帯用ゲーム機に夢中です。何台かの無線通信で対戦しているようです。
風景は農村の原風景ですが、子供たちの手には最先端の技術が詰まっています。どちらも日本が誇るものです。現代の素晴らしいローカル線の風景と言えるでしょう。
座席はボックスシートは全部埋まり、ロングシートもほぼ満席です。着席率だけで言えば、ほぼ100%です。
地元の人に利用してもらえる。寒い冬だから鉄道の利点が発揮されるのでしょう。交通弱者だけでなく、元気な人にもぜひ利用していただきたいです。

車内で遊ぶ子供たち

茂市に戻ってくると、列車は子供たちを乗せたままゴロゴロと宮古方面に走り去っていきました。もう夕方まで戻って来ません。
そのままホームで盛岡方面行きの列車を待ちます。駅の端っこでは、保線の方が作業車を出して作業を始めました。
ゆっくりとした時間が流れていきます。よく見ると、茂市はむかし大きな駅だったことが想像できるものが、あちこちに残っています。
大きな跨線橋や長いホーム。この土地に鉄道がやってきた日が偲ばれます。駅前の集落にも活気があったのかもしれません。
すぐ近くを通っている国道を走る車の音だけが、静かな山村にこだましていました。

茂市駅

茂市駅と山田線の列車

1 月 4, 2009

雪の秘境を行く(1)

カテゴリー: JR Japan Railway company group, 鉄道模型 railroadmodel — しっぽしゃっぽ @ 3:27 pm

新年最初の列車旅は岩泉線です。

場所はこちらになります。

名前を聞いたことがある人も多いのではないかと思います。テレビや雑誌等でも紹介され、鉄道ファンの間では有名な路線です。何で有名かと言いますと・・・
本数が1日3往復しかないこと、それから誰もいない山の真ん中に駅があること、です。
秘境路線、秘境駅なんて言われています。運行しているJR東日本も連休に「秘境駅号」というイベント列車を走らせることがあるくらいですので、逆に「売り」にしているとも言えるでしょう。
昨年末に公共交通について書きましたので、年始は本数の少ないローカル線にスポットを当ててみたいと思います。

茂市駅の出口の上にはつららが

全国のJR線のうち、2009年1月現在で、定期便で最も列車の運転本数が少ない区間は1日3往復だけという区間になります。
該当する区間は全国に4箇所あって、北海道の札沼線の浦臼~新十津川間、福島県と新潟県を走る只見線の会津川口~只見間、島根県と広島県境をまたぐ木次線の出雲横田~備後落合間、そして、ここ岩手県の岩泉線の岩手和井内~岩泉間です。
ただし、例外的にちょっと面白い線として、休日に限っては、1日2往復しか走らない路線というのが都会の中にあります。しかも幹線の山陽本線で兵庫~和田岬間です。
ここは工場に通う人たちの通勤路線なので、休日は運転本数が極端に少なくなるのです。

ホームの隅にあるトイレも雰囲気がある

岩泉線は他の2区間と比べても、かなり乗りにくい路線とされています。3本しかない列車のダイヤが特徴的だからだと思います。
普通は3本ある場合には朝昼晩と走っているのですが、岩泉線の場合には、朝と夕と夜なのです。さらに1往復だけある区間折り返し便は早朝です。つまり日中は1本も列車が走らない路線なのです。
夕方の列車の復路は、冬季ではもう日が暮れてしまった後の時刻になりますので、この区間の風景を見られる時間帯に走る列車は、冬なら1.5往復、春~秋でも実質的に2往復しかないのです。
また岩泉線自体がローカル線の山田線から分岐している路線であるため、朝の列車に乗車するためには、どうしても地元に宿泊(前泊)しなければなりません。最も近い都市圏である盛岡市からでも、列車では朝の便には間に合いません。盛岡駅から出る山田線を全線通る列車の始発時刻はなんと11時4分です。

茂市駅の時刻表。接続する山田線もローカル線。

私も最初にこの路線に乗ろうと計画した時には、台風がやってきて山田線があさっり運行中止になり、乗ることができなかった思い出があります。
都会では「運転見合わせ」と言い方をしますが、地方では即「運行中止」です。とにかく本数がないので、一度やめたらその日は走らないわけです。
結局、夏でもだめならと思い、リベンジは敢えて真冬に行いました。

早朝の宮古駅ホーム

真冬に往復の景色を見られるのは朝の1往復しかありませんので、必然的に地元に前泊することになります。観光と地域にお金を落とすという意味では最高です。
岩泉線の始発駅は茂市(もいち)駅ですが、ここは小さな集落で宿の心配がありましたので、海岸沿いの宮古に宿泊しました。
あらかじめ宿の人に言っておいて、夜が明ける前に出発です。
早朝の宮古駅は静まりかえっていましたが、売店はもう朝の準備を始めていました。

早朝の宮古駅

三陸海岸の駅らしく、駅には大漁旗が掲げられています。
始発列車には何回も乗ってきましたが、この時間帯から列車に乗っている客層は、大きく分けると3種類です。
登山客、釣り客、乗り鉄。いずれも気合いの入った趣味人たちです。早朝の列車は趣味人が支えていると言っても良いでしょう。
ただし都会では、これに通勤客と前夜の終電に乗り遅れた酔客が交じります。

宮古駅ホームの大漁旗

余談ですが、登山客、釣り客同様に、乗り鉄にとっては早朝時間帯が最も重要です。
特に景色を見る必要がありますので、夜間は乗ってもあまり面白くありません。乗り鉄は早寝早起きで健康によいのです。
朝夕はラッシュで車内が混み合います。また午後は通学客で占有されてしまいます。したがって乗り鉄にとって、一番の時間帯は日中と早朝になるのです。
日中は列車が意外に少なく、長い路線を1本乗れれば良いというくらいです。となると短い路線や行きにくいところを乗るのは早朝にかかってきます。
実際に体感として、早朝にどれだけ乗ることができるかが1日の乗車効率を左右します。
ということで、宮古駅を出発した山田線の車内も、数人の乗客は全員が同好の方でした。おそらくそのまま岩泉線に乗り換えることは暗黙の了解です。

車窓に朝日が昇る

宮古から2~3駅過ぎると朝日が昇ってきました。今まで薄暗くてよく見えなかった車窓がはっきりと写し出されていきます。
7時前に茂市駅に到着。反対側のホームには岩泉線の列車が停まっています。私の乗った列車よりもさらに早朝に宮古を発車し、この茂市駅から途中の岩手和井内駅までを往復してきた列車です。
岩泉線はこのたった1両の列車が往復するだけの路線なのです。
以前は旧型の国鉄時代の車両が走っていましたが、今はキハ110形です。この車両も決して新しい車両ではないのですが、白いスマートなフォルムが雪景色にマッチしています。

岩泉線の列車

茂市駅の待合室ではストーブが赤々と燃えていて、とても暖かいです。

茂市駅待合室のストーブ

駅前には雪の中に昭和の光景が広がっていました。
まだ人気はありません。

茂市駅前

駅舎もどことなく優しさと懐かしさを感じるデザインです。
雪が積もって非常に美しいイメージになっていました。

茂市駅

12 月 20, 2008

2009年3月JR各社ダイヤ改正

カテゴリー: JR Japan Railway company group — しっぽしゃっぽ @ 6:07 pm

2009年3月14日に実施されるJR各社のダイヤ改正内容が正式に発表になりました。

寝台特急富士

まずは良い方のニュースから。
昨日、キハ85系の記事で「ワイドビュー南紀号の定期便にはグリーン車が連結されていない」と書いたばかりですが、3月のダイヤ改正で全ての南紀号にグリーン車が連結されることになりました。
先頭車が展望グリーン車の場合はシートも3列配置ですので、よりゆったりとした旅行ができると思います。

私は熊野市の近くに知り合いがおりまして、そこに行ったりする際に南紀号に乗るのですが、南紀号は昔は全便グリーン車が連結されていたように思います。
ところが、いつだっか行く時に、展望席座りたかったので新宿駅でグリーン車を申し込んだら、「あれ?南紀号にはありませんよ」と言われてがっくりしたことがありました。ですので、元に戻ったということになりますね。
やはりいろいろなクラスが選べた方が良いと思います。でも普通車のグレードが高いので、普通車も乗ってみて下さい。

それから東海道新幹線「のぞみ」が増発になります。ビジネスではますます便利に。
新大阪以遠に行く便も増えるようです。次回のダイヤ改正でのぞみは1時間に最大9本が走る体制になるとのこと。
お盆や帰省時期には力を発揮すると思いますが、凄い高密度運行です。
時速270Kmの列車が数分おきに行き交う東海道は、世界でも類を見ない路線ではないでしょうか。
それから「こだま」も増便になります。近距離区間の利用でこだまも人気があるみたいですね。

その他、首都圏近郊では、列車の本数が増えたり、特急の停車便が増えたりします。
東京のドーナツ化現象を示しているのかもしれません。
普段から感じていたのですが、例えば東京駅で降りても、その後山手線外まで帰るという人は多いはずです。
ですので周辺部の在来線を増強することは、非常に利便性が高まると思います。
交通渋滞も山手線内はあまりひどくなく、その外側、外環からさらにひとつ外のエリアあたりが一番混んでいますので。

津山線の快速

反対に残念なニュースです。
今年はあまり多くないので、若干安心しましたが、予想通り寝台特急「富士・はやぶさ」が廃止になります。
通年の利用率は4割程度まで落ちていたと、新聞等では書かれていましたが、4割なら公共交通として残して欲しいという気もします。
あれだけサービスの改善をしなくても4割残っている、という受け取り方もあるのではないでしょうか。

また最後の昼間の定期急行だった「つまや」が快速に格下げになり、廃止になります。
最近では車両が普通・快速と同じ車両で、しかも停車駅は快速とほとんど変わりませんでしたから、急行としての意味はなくなっていたと思いますが、それでも最後までがんばっていました。

これで昼間に走る急行列車は、ついにJR線から姿を消すことになります。
かつて日本中に急行が走っていました。私もJR(国鉄)に乗って旅行する時には、本当にお世話になりました。
特に地方では急行がとても便利でした。「くりこま」「千秋」「あしずり」「いよ」など、遠くの地方に初めて列車に乗り行った時には、必ず急行に乗ったことが思い出されます。
急行列車自体はまだありますが、夜行の一部だけになってしまいました。「きたぐに」「はまなす」「能登」この3本だけです。
これらも何年残るかわかりませんので、来年は機会があれば乗っておきたいです。

急行列車ですが、JRとしても上手に活用すれば、まだまだ活路があるのではないかと思います。
料金不要の「快速」が増えて、中途半端に有料だから乗らないということだと思いますが、逆に「割引する特急」という位置づけなんてあるのではないかと思います。
定期でなくても、多客期や他の交通機関との価格競争の面で、特急料金が厳しい区間や時間帯に投入するとか。車両は特急車両を使用すれば「お得感」は出るのではないかと思います。
都市圏で走っている「ライナー」のような列車は座席指定料金を取っても、お客さんのニーズがあるわけですから、そういう区間もあって良いのではないかと思います。
サラリーマンとしてはラッシュ時には座りたい気持ちはかなり強いです。仮に通過駅がなくても全駅に停車するけど、座席は指定のような列車があっても良いと思います。そういう新しい発想の急行が出てくるといいなと思います。

しかし、全体的には、列車本数が増えたり、停車駅が増えたり、複線化工事の完成によって時間が短縮されたりと、今回のダイヤ改正は良いニュースが多いと感じました。
地域とお客様ニーズに合わせた改正ではあると思います。
なくなる列車があるのは寂しいですが、新しい時代に向かって走り続けて欲しいです。

12 月 19, 2008

ワイドビュー特急キハ85系

カテゴリー: JR Japan Railway company group, 国内旅行 domestic travel — しっぽしゃっぽ @ 9:43 pm

久しぶりに鉄道車両の紹介です。
JR東海の特急用ディーゼルカー「キハ85系」です。
特急「ワイドビューひだ号」と「ワイドビュー南紀号」に使用されています。
この車両は在来線の列車の中では、個人的に最も好きな車両で、みなさんにもぜひ乗車をおすすめしたい列車です。

キハ85系南紀号

キハ85系の魅力は

(1)ワイドビューの名前の通り、大きな車窓から景色が楽しめる。
(2)走っている区間の景色がとても綺麗。山あり、海あり、世界遺産あり。
(3)座席が良く乗り心地が非常に良い。特に普通車(指定席・自由席)が秀逸。
(4)高速で安定した走行性能。
(5)閑散期の短い編成から多客期の長編成まで、多様で効率的な車両運用が可能。

といったところでしょうか。

キハ85系南紀号

(1)の車窓ですが、窓が大きいだけでなく、座席の位置も高くなっています。
車内に入ると通路がありますが、座席はすべて通路よりも一段高い位置に設置されているのです。座ると肘掛けの位置(座った足の上面の位置)が窓の下端になります。
ですので窓側の席に座ると、視界を遮るものがほとんどなく、素晴らしい展望が楽しめます。これは編成全体のどこでも全席がそうです。
展望車両のように一部の座席の展望が凄いというわけではなく、すべての座席が平等に眺望を楽しめる構造になっています。
たぶん「ワイドビュー」というのは元々そういう意味で付けられたのではないかと思いますが、展望車のイメージが強いため、誤解している人もいると思います。キハ85系は全席ワイドビューなんです。
また前の座席との間隔が比較的広いため、開放感があります。
キハ85系の窓は、前後2列で1枚の大きな窓が割り当てられているので、座席番号によっては、前方に窓枠が来るケースがあります。これは他の列車でも同様ですが、こういう座席でもそれほど視界を遮られる感じはしないと思います。
また最初の写真のような非貫通型の先頭車車両の運転席後ろの座席では、横に加えて前方の展望も楽しめます。運転席にはサンルーフがついていますので、本当に広々とした感じです。

キハ85系南紀号

こうしたワイドビューとの組合せで見る(2)の景色は素晴らしいです。キハ85系が走る区間には、日本の鉄道車窓の良い点がぎっしりと詰まっています。
ワイドビューひだ号(大阪・名古屋~高山・富山)では、川と峡谷、山間部と日本の原風景を見ることができす。
国宝である犬山城を見て、まるでドイツのライン川のような景色が見られる木曽川の日本ラインに沿って走り、奇岩と絶壁が続く飛水峡を越え、中山七里ではダム湖横をまるで湖の上を滑るように進んでいきます。川の両側に広がる日本三名泉のひとつ下呂温泉に停車した後は、トンネルを抜けて山間部の農村を見ながら世界遺産「白川郷」の入口、古い町並みで有名な高山へ。その後も北アルプスを眺めながら、越中おわら風の盆で有名な八尾を通って、立山連峰が聳える富山まで。1回で乗ってしまうには惜しいほどの内容です。

高山の古い町並み

キハ85系の先頭車両にはヘッドマークがついています。
ワイドビューひだ号のヘッドマークは、飛騨の合掌造りの家のシルエットです。

高山で売られている焼きたてのせんべい

一方のワイドビュー南紀号(名古屋~紀伊勝浦)では、美しい海岸線と白浜が見える海と山、そして都市近郊部の平野が見どころです。
海抜ゼロメートル地帯を走り地上駅では日本一低い場所にある駅を通過します。木曽・長良・揖斐の大河を次々と渡り、田園風景と都市部が交じる近郊区間を過ぎると伊勢神宮の玄関口。車内販売で松阪牛の香り楽しんでいるうちに山間部に入ります。急な坂を下ると、ぱっと視界が開けて青い海原が見える一瞬は感動ものです。(紀伊勝浦行きの場合)右手には世界遺産の熊野古道が通る山々を、左手には海の間に漁村や白い砂浜を見ながら走ります。新宮を過ぎるとどこまでも続く海の横を通ります。ご神体でもある那智の滝の最寄り駅である那智駅を通過すると、鮪や鯨で有名な終着勝浦。本州最南端はもう目の前です。
こちらも1回では全部を楽しむことはとてもできません。

那智の滝

ワイドビュー南紀号のヘッドマークは、この那智の滝のシルエットになっています。

南国ムード溢れる紀伊勝浦駅

こうして書いてみると、多数の日本らしい観光資源がずらりと並んでいることがわかります。この車窓があるからこそワイドビューだとも言えるでしょう。
特急列車の系統としては名古屋駅で分かれていますが、どちらもキハ85系が走ります。

熊野古道

つづいて(3)は、個人的にはとても大切な点だと思っています。
先ほど全席ワイドビューと書きましたが、キハ85系は普通車にこそ、その良さがあるのだと感じています。
南紀号には定期便にはグリーン車はないのですが(昔はあったと思うのですが、いつの間にか連結されなくなっていた)、ひだ号にはグリーン車があります。グリーン車も良いのですが、正直なところ、この列車に限っては普通車でもグリーン車でも差がないと感じるほど普通車の座席が良いのです。全席グリーン席に近いという表現が正しいかもしれません。
普通車でも座席の位置が高く、前後の席の間隔が広めに取られているため、ゆったり感があります。
ディーゼルカーですのでエンジンの響きや振動があるのですが、座席位置が高いためか、びりびりとした感触はなく非常に快適です。
変な言い方ですが、JR在来線ではハイエンドの普通車だと思います。
普通車が良いということは、自由席でも快適な旅ができるということで、これはお得です。
どちらの特急も観光地だらけなので、何回か乗車しようという気になることもポイントではないでしょうか。リピーターになりたくなる列車なんです。

勝浦の漁港

(4)と(5)は車両そのものについてです。
キハ85系という列車は、意外に古くて平成元年(1989年)に登場した車両です。走り始めてもう20年経つことになります。
国鉄の後を引き継いだJR東海として、初めての新形式がこのキハ85系です。
しかし今乗ってみても古い印象はありません。そこがキハ85系の優れている点だと思います。
時代を超えて通用するものを作ることは大変です。キハ85系は今日乗っても、古くささも不快感もありません。実は凄い車両なのではないかと認識を新たにしたのは21世紀になってからです。長年通用するということは、エコでもあり、経済的にも有利ですので、経営を安定化させるのではないでしょうか。

高山陣屋

この列車が最初に登場したのは高山本線。「メタモルフォーゼ高山線」というキャッチフレーズとともに「ワイドビューひだ号」として走り始めました。
米国製の高出力エンジンを搭載していて、加速力や速度はディーゼル列車とは思えないほど良く、まるで電車特急のようだと感じたことを覚えています。いまでもスムーズな走りは健在で、車体傾斜こそしませんが、山間部のカーブが続く路線を颯爽と走り抜けていきます。
ひだ号、南紀号とも終点まではかなり遠く時間がかかっていましたが、キハ85系になってから大幅に到達時間が短縮されました。
「メタモルフォーゼ」とは変身という意味ですが、本線の名前がついているにも関わらず、それまでは古くて遅いローカル線のイメージだった高山本線は、まさに変身をとげたと思います。沿線の観光設備も充実しており、日本有数の観光地として賑わっています。

高山駅

この列車の登場によって、沿線の地域交通も改善されたように思います。特に高山本線は列車の本数が増えました。観光客だけでなく地域の輸送と、南紀号の多気辺りまではビジネス客の輸送も担っているように思います。
気動車は電車とは違って、比較的柔軟に車両編成を組み替えることができるメリットがあります。キハ85系でもその点を活かして、繁忙期には9両編成のように大量輸送ができ、逆に閑散期には3両程度まで編成を短くして経済的な効率を高めています。
ひだ号では高山までの利用者が多く、高山-富山間では少なくなる(名古屋-富山間には北陸線経由で電車の「しらさぎ号」も走っている)ので、高山駅で後ろの編成を切り離して運行されています。

紀伊勝浦駅前の風景

今日では平行する高速道路が全線開通し、バスなどのライバルも増えてきました。登場から20年経って競合は増えましたが、それだけ沿線の活気が溢れるということですので、これからも負けないように頑張って欲しいと思います。

那智の火祭り

キハ85系は、鉄道ファンを含めていまひとつ受けが悪いようにも感じています。
JRの宣伝ではありませんが、個人的には車両としては在来線ナンバーワンの列車だと思いますので、このいまいちマイナーな特急に興味をもっていただければという思いです。
残念ながら車内サービスが特別凄いといったようなことはないのですが、日中は車掌さんが放送で沿線の観光案内もしてくれます。

紀伊勝浦駅の通路にある観光案内

キハ85系があまり人気がない(ような気がする)理由は、なんとなくわかります。
ディーゼルカーであること、カラーリンクがどうも地味であること、スタイルに奇抜性がないこと、などではないかと憶測しています。
JR東海のカラーリングは基本的に統一されているので、ぱっと見ただけではどの特急かわかりにくいし、写真に撮ってもあまり変わり映えがしないことは理解できます。
東京駅では様々な色の特急や通勤列車が来るのに、名古屋駅ではみんなオレンジのラインが入った車両ですから。

キハ85系ひだ号

それでふと気がついたのですが、一般の人の列車に対するイメージは「見た目」や「速度感」等が重視されているんですね。ある意味当然だと思います。
鉄道ファンにもいろいろな種類があって、私のように乗って旅行することが好きな「乗り鉄」は、わりと数が少ないように感じています。
SLや鉄道のイベントでも写真を撮ったり、駅にいる人は多いけれど、車内はけっこう空いていたりすることが、ままあります。
私がキハ85系が好きな理由は「乗り鉄」だからです。この列車の魅力は乗ってみると実感できるのです。

キハ85系ひだ号

地方でイベントがあった時、列車をはじめとして公共交通機関で行く方が、その地域により多くの経済効果をもたらします。自家用車で行く人の倍以上になるという調査もあるようです。
公共公機関を使えば、運賃は地元の会社にお金が入りますし、駅で記念品や駅弁を買ったり、地元の商店で食事したりお土産を買ったりしても、地域にお金が入ります。
これから高齢化社会になり、全ての人が自分で車を運転できる状況ではなくなってきます。地域の公共交通の重要性は増していくと思います。
その時に鉄道が選択肢として残っているように、毎回でなくていいですので、列車に乗って観光に行っていただきたいと思います。環境にも優しいですよ。

勝浦での鮪の水揚げ

ワイドビューひだ号、南紀号ともに、名古屋駅で乗り換えです。上下とも新幹線に接続していますのでスムーズに乗り換えできます。
東海道新幹線から名古屋駅でひだ号、南紀号に当日に乗り継ぐ切符を通しで買うと、乗継ぎ割引が適用されてひだ号、南紀号の特急料金と指定席料金が半額になります。帰りに限って(ひだ号、南紀号から新幹線への乗継ぎ)は名古屋で一泊して翌日の乗継ぎでも割引になります。

キハ85系行き先表示器

東京からのぞみ号でこの割引を利用して、通常期の片道大人一人(普通車指定席)のお値段は、
飛騨古川まで:15,660円
高山まで:14,500円
下呂まで:13,500円
紀伊勝浦まで:15,930円
新宮まで:15,620円
熊野市まで:15,300円
松阪まで:13,150円
です。上記金額より、多客期には200円高く、閑散期には200円安くなります。
その他、お得なきっぷや周遊きっぷの「飛騨・奥飛騨ゾーン」「南紀ゾーン」も利用できますので、旅行代理店に相談してみてはいかがでしょうか。

キハ85系南紀号

12 月 1, 2008

中野で撮り鉄

カテゴリー: JR Japan Railway company group, 写真 photo, 鉄道 railway — しっぽしゃっぽ @ 10:08 pm

Gカフェさんに行った時に、中野駅近くのJRの陸橋から撮り鉄してみました。
ここは以前から気になっていた場所で、最近では珍しく端に金網等がなく、胸から上くらいの高さはフリーになります。
これはいい眺めなのではないかと思って登ってみたのですが・・・。

全然だめでした。

架線と電信柱が邪魔です!
ちょうど目の前を遮っています。
考えてみると電化された線路はあまり美しくないんですよね。ハイブリッド車両の普及等で、すっきりした綺麗な鉄路になるといいなと、勝手に思いました。

とは言っても、なんとか首をひねったり、カメラを傾けたりして、撮りましたので見ていただければ幸いです。

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