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木次線の旅その3 The travel of Kisuki line #3

神話の世界へようこそ。
今日は奥出雲おろち号にまつわる神話のお話です。木次駅に設置されている看板に書かれている神話を、おろち号の列車を背景に紹介します。
Today, I will tell you the legend of “Orochi” in Izumo area. There are some story boards of the legend in front of the train “Oku-Izumo Orochi” at the Kisuki station.

奥出雲おろち号の「おろち」とは、伝説の大蛇「八岐大蛇(やまたのおろち)」のことです。
木次の町を流れる斐伊川流域にはたくさんの大蛇伝説が残っています。
The word “Orochi” means the huge snake (oriental dragon) of the legend. It was called “Yamata no Orochi.”
The stroy of the dragon legend is handed down from generation to generation in the Hii basin flowing through the town of Kisuki.

素戔嗚尊(すさのおのみこと)が神の国である高天原から出て出雲の国までやってくると、老夫婦と一人の娘が泣いていました。
老夫婦の名は、脚摩乳(あしなづち)と手摩乳(てなづち)、娘の名は奇稲田姫(くしなだひめ)と言います。
泣いている理由は八岐大蛇です。毎年ひとりずつ娘を大蛇に生け贄に捧げて、今年はこの姫の番になりました。しかし、何も打つ手がないのです。
A long long time ago, “Susanounomikoto” the son of god desended from the heaven “Takamagahara” and came to Izumo. An old couple and a daughter were crying.
The old man’s name is “Ashinazuchi” and her wife’s is “Tenazuchi.” The name of the their daughter is “Kushiinada.”
They said that the evil dragon “Yamata no Orochi” had killed their eight daughters evry year. “Kushiinada” will be killed in this year. The old couple cried out for help, “We don’t know what to do. We can’t do any more.”

素戔嗚尊は大蛇を退治することを決意します。
そこで脚摩乳と手摩乳に、八つの壺に酒を入れて用意するように言いました。
八岐大蛇はは八つの頭としっぽがあり、その胴体は八つの山と谷に広がっていて、背中には松や柏が生えていました。大蛇は酒の壺を見つけると、それぞれの壺に頭を突っ込んで呑み始めます。そして、やがて酔いが回って寝てしまうのです。
その隙を見計らって、素戔嗚尊は剣で大蛇をずたずたに切り刻みました。こうして大蛇を退治したのです。
大蛇のしっぽを切る時に、剣の刃が少し欠けてしまいました。不思議に思った素戔嗚尊がしっぽの中を調べると、そこに1本の剣が見つかりました。その剣は「天の叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」です。
この剣は現在は「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」となり、皇位継承の証である三種の神器のひとつになっています。
Susanounomikoto determined to defeat the evil dragon.
He requested the old couple, “Bring eight casks of sake to the dragon.”
“Yamata no Orochi” has eight heads and tails, and is lying down on the eight mountains and eight valleis. There are many pine and oak trees on its back.
The dragon drank off eight casks of sake and drank itself insensible.
Susanounomikoto choped down the dragon with his sword while it was stupefied with drink. He rided the dragon.
The edge of his sword chipped when he attacked the tail of the dragon. There was a something hard inside of it. It was the sword of “Amenomurakumo.”
The sword of “Amenomurakumo” named the sword of “Kusanagi” by Susanounomikoto in another legend of him. It is the one of the three Sacred Treasures symbolizing the Japanese Imperial throne.

大蛇を退治した素戔嗚尊は奇稲田姫と婚約します。
そして結婚によい場所を探して、須賀(すが)という場所に着きました。ここで奇稲田姫が「ああ、私の心はすがすがしい」と言ったので、ここに宮を建てました。
このとき素戔嗚尊は姫に対する気持ちを恋歌に詠みました。その音が五、七、五、七、七だったので、これが日本の和歌の始まりになったとされています。
Susanounomikoto engaged to the princess Kushiinada.
They searched for a land to live and finally found it in Suga area. They built the house there because Kushiinada said that what a refreshing place it was! Refreshing means “sugasugashii” in Japanese. “SUGA” area and “SUGA SUGA shii” are play on words in Japanese.
Susanounomikoto composed a poem of love for her. The poem was the first Japanese poem “Waka” because it consisted of five, seven, five, seven and seven words.
この神話に出てくる「天の叢雲剣(=草薙の剣)」は、現在は、名古屋市の熱田神宮にご神体として祀られています。
名古屋は私の故郷なのでなんだか「ご縁」を感じます。私はかつて学生時代に島根出身の彼女がいました。私はその姫とは結ばれませんでしたが、おろち号に乗ってふと不思議な縁に思いを馳せました。彼女はいまも元気にしているでしょうか。
日本には、他にも数多くの神話や伝承が残されています。
鉄道に乗って、そんな各地の神話を訪ねてみるのも、また一興だと思います。
The sword of “Kusanagi” in this legend is enshrined in Atsuta Shrine in Nagoya city now.
Since I was born in Nagoya, I am familiar with this sword. When I was at the university, I had a girlfriend who was born in Shimane prefecture. We didn’t get married, but I suddenly remembered her on the train. I hope she is well now.
There are a lot of legends and folklore in Japan.
How would you like to go on a trip to places of legend by train?

さて木次駅を出た「おろち」号はいきなりトンネルに入ります。
先頭のトロッコ車両からは前方のパノラマが存分に楽しめます。トンネルを抜けるとそこには何が見えるでしょうか。
The train “Oku-Izumo Orochi” left the station, and went into a tunnel soon.
We can see the very fine views in front of the windowless coach. I am looking forward to seeing a vista beyound the tunnel.
メルクリンの魅力(6)
7.気をつけたい点
魅力たくさんのメルクリンですが、当然弱点もあります。
最初から覚悟(というほどでないですが)しておいた方が良い点は、2つだけだと思います。
(1)外国製品なので、あくまでも自己責任で割り切って使う
平たく言ってしまうと保証や安全性は完璧ではないという意味です。もちろん、販売店や海外の通販をしているお店を含めて、粗悪品を売ろうとか騙してやろうということは、まずありません。
しかし現状では、メルクリンの製品で「日本市場向け」のものはありません(かつては製造/販売されていたことがありました)。すべてヨーロッパまたは米国市場向けです。
そのため、カタログや説明書はすべて外国語(ドイツ語、フランス語、スペイン語、英語など欧米の各国語)のものしかありません。日本語で書かれている書類はほぼ皆無です。
また、仕様や安全性についても欧米の基準に準拠していますので、日本での動作は保証してくれません。日本の法律(PL法等)に合致しているわけではなく、保証の対象でもありません。
自分で海外で買ったものを、日本で動かしているという立場になりますので、動作に関しては各自で責任を持つことが前提条件です。
とは言っても先進国の電化製品ですから、そんなにめちゃくちゃな仕様になっているわけではなく、普通に扱っていれば大丈夫です。けれども万が一ですが、昇圧機(アップトランス)を通したらうまく動作しなかったとか、そういう問題が発生した場合には、自分で対処するしかないことになります。
販売店もある程度、相談に乗ってくれる場合もあるとは思いますが、壊れたら自分でドイツに送って修理をしてもらわないとだめだくらいの覚悟でいる必要はあります。
ドイツのメルクリンも小さな会社ですので、特に日本のサービスと比較すると、決してサポートが良いとは言えません。くどいですが悪い会社ではないですよ。ただ世界的に見て日本のサービスレベルの高さは異常に良すぎるので、同じような対応は期待しないでください。
買うことは簡単にできるけど、その後は自分で何とかしなければならない。この点は各自の中で十分に割り切っておく必要があると思います。
(2)日本の列車はない
メルクリンでは日本型の列車(新幹線とか山手線とか)を走らせることはできません。日本の列車は販売されていないからです。
※過去には販売されたこともあったようですが、もう現在のシステムとは異なるのでそのままでは走りません。
同じHOゲージだからと言って日本のメーカーが発売している車両を購入しても、集電方式や採用されているデジタルシステムが異なるため、残念ながら走らせることはできません。
この点は現時点では諦める必要があります。
個人的な経験から言って、日本型車両をメルクリン用に改造して走らせることは不可能ではないのですが、結局はメルクリンのようには走らないので、やらない方が良いと思います。
一番の理由は最小回転半径の問題です。日本型のHOの車両の多くはメルクリンの半径360mmといったカーブを通過することはできません。急カーブ過ぎて車体が曲がらないのです。メルクリンのカーブが急というよりも、日本製品の列車が曲がらなすぎると思います。
日本型の車両を普通に走らせるためには、メルクリンのR4、R5といった規格の、大きなカーブでレイアウトを作る必要があります。しかしこれでは相当広いスペースが必要になりますので、前回までに紹介したせっかくのメルクリンの良いところが損なわれてしまうのです。
それから日本のメーカーが出しているHOゲージは2線式アナログ用がほとんどで、電気系統を大幅に改造する必要があるため、かなりの電気的な知識を要求されることもひとつです。改造してもメルクリンの他の機関車は音も出て煙も出るのに、日本の列車はただ走るだけというのでは寂しいです。音や煙も改造するとなると、もう素人の領域を越えた工作になります。
残念ですが、ここはすっぱりと諦めてください。
みなさんがたくさんメルクリンで遊ぶようになったら、日本市場が開拓されて、日本向けの商品が発売されるかもしれません。日本型を発売させるほど、メルクリンを振り向かせないとだめだと思います。
日本の列車はNゲージ等ではもの凄い数が発売されています。逆にNゲージをデジタルに改造する方が、価格も工作も楽だと思います。
別に鉄道模型はひとつにきめなくてはならないというものではないので、日本の車両はNゲージで、多機能で走らせることはメルクリンでと、分けても良いのではないでしょうか。
ここ6日間、だらだらと書いてきましたが、メルクリンに乗り換えてくださいとは思っていません。
ただ、こういう鉄道模型もあるよと、選択肢のひとつとして考えられたらと感じています。
どうやら今までは「メルクリンは高級品で高い。お金がかかる」「デジタル式は難解でよくわからない」という先入観で手を出せなかった、出さなかった人もいるようです。
これらについては、今回はっきり「そんなことはないですよ」と書いたつもりです。
ちょっとしたお小遣いで買ってみて、週1でも月1でも少し走らせて十分楽しめる、長くつきあえる。子供と一緒に鉄道模型で遊びたいけど、プラレールを大人がするのは恥ずかしい。でも一緒にメルクリンならできるかもなど。そういった目でメルクリンを見てもらえればと思います。
一連の記事に関して、質問やもっと聞きたいことがあれば、メールをもらえればできる範囲内で対応したいと思います。
2 commentsメルクリンの魅力(5)
6.遊び方スタイル
メルクリンという鉄道模型は、遊ぶ人が自分のスタイルに合った付き合い方をできる模型です。
メルクリンを始める時にある程度遊び方スタイルを意識しておいた方が、後から楽になると思いますので、今日はスペースとは別の意味の規模になる「遊び方のスタイル」について書こうと思います。
鉄道模型という趣味は「物」なので、基本的に空間のキャパシティが最終的な制限になります。わかりやすく言うと、例えば、車両をコレクションしたいと思ったとしても、自分で管理できる範囲がコレクション数の上限になります。
一方で「旅行」とかいった趣味は「行動」なので、これは当てはまりません。お金や時間の制約は発生しますが、生きている限り行きたい場所に無限に行き続けることが可能です。ですので「無秩序にあてもなく旅に出る」といったようなスタイルが可能になります。
メルクリンから発売されている車両数は膨大です。Nゲージも多いのですが、メルクリンも毎年かなりの新製品が発売されます。カタログも毎年更新されますが、1冊は厚さが1cm以上ある本になるほどです。
毎年欲しくなるような製品は発売されますし、それだけ奥の深い、幅のある鉄道模型なのです。
カタログを見てうれしくなって、どんどんと製品を買っていると、やがて保管場所がなくなったり、遊ばない車両が出てきたりします。そこで計画性と管理の必要性が生まれてくるのです。これはいわばメルクリンのポートフォリオです。
もちろん「手当たり次第に場所がなくなるまでやってみる」というスタイルもあると思いますので、そういう方針でも良いかもしれませんが。
出発点であるスターターセットを分析してみましょう。
基本的な(メガとかではない)スターターセットには、電源(アダプタ)と、列車が1編成と、1周と引き込み線程度分の線路と、モバイルステーションが同梱されています。
これでできる遊び方は、モバイルステーションというコントローラーの性能の制約で決まります。
(1)モバイルステーションで主にできること
・2~3列車(編成)までの同時運転(※実際の消費電力により左右されます)
・最大10列車(デコーダー搭載車)までのリスト登録
・最大9個(ライト+マルチファンクションボタン×8)のファンクション制御
※実はモバイルステーションには2種類の製品(スターターセット同梱品とそうではない単体品)があります。これは性能が低いスターターセット同梱品の方のスペックです。
余談ですが、出力電力の関係で、HOスターターセット同梱品タイプのモバイルステーションを1番ゲージで使用することはできません。1番ゲージには1番ゲージのスターターセットに入っているものか単体品を使用する必要があります。
10台までのリスト登録というのは、モバイルステーション内に一度に登録しておける列車の数です。メルクリンでは線路においた機関車を一度コントローラーに登録(自動または手動)してから、呼び出して操作します。各機関車が持っている機能によってボタン等の機能や操作が変わるからです。
例えばRe460という機関車を呼び出した時、モバイルステーションの画面にはRe460が搭載している機能が表示されます。これによって機関車の機能やボタンの役割をいちいち覚えていなくても、直感的に操作ができるようになっているのです。
持っている機関車が10台までなら、すべての機関車をコントローラーに登録できるので、どの機関車を線路に置いてもすぐに走らせることができます。
11台目を買った時点で、これを走らせるためには、他の10台のうちどれか1台の登録を、一度削除しなくてはなりません。つまり列車の管理アドレス帳のようなものです。10個を越えたら入れ替えながら使うことになります(新しいモバイルステーションを買う必要はありません)。
一方、最大9個のファンクション制御というのは、1台の機関車につき9個までのファンクションが操作できるという意味です。ファンクションというのは、ライトのオンオフ、汽笛を鳴らす、煙を出す/止めるといった機関車が持っている機能スイッチのことです。
列車によっては10個以上の機能を装備しているものがあるのですが、モバイルステーションではそのうちの9個までしか操作できません(残りの機能は使えません)、という意味です。
勘違いしやすいのは、モバイルステーションは1個で複数の列車を同時に走行させることができる、という点です。2列車を同時に走らせたいからと言って、2個のモバイルステーションを買う必要はありません。
同時に複数の人が操作する必要がなければ、基本的にコントローラーはひとつでOKです。
メルクリンでは、列車に指示をどんどん出していくという感じで操作をするからです。
A列車に「10段階目の速度で走行」という指示を一度行ったら、A列車は次の指示があるまで、何もしなくても10段階目の速度で走り続けます。この間にB列車に「5段階目の速度で走行」という指示を出せば、A列車とB列車は同時に走り続けます。
レイアウトの上でA列車を先発させて、次にB列車を続行させて、以後は細かくB列車の速度を調整していれば、たとえ単線の線路1本の円周であっても、一人で同時に2本の列車を走らせて遊ぶことができます。
ただし気をつけておかなくてはならないのは、モバイルステーションは列車を操作するには十分ですが、ポイント等のアクセサリの電動/遠隔操作はできません。
モバイルステーションのこういった性能は、普通に1周と引き込み線程度分の線路で遊ぶスタイルでは、必要十分な機能になっています。
なぜかというと、1周と引き込み線程度を広げるようなレイアウトでは、同時に線路上を走る列車は2編成か3編成くらいだからです。それ以上は線路が列車で埋まってしまうでしょう。それでも同時運転や、駅で行き違いしての交互運転が可能です。
ポイントの数は1個か2個程度ですので、手動で切り替えてもあまり手間でありません。
2つか3つの列車をいくつか交代させながら走らせるとすると、列車コレクションの数は10編成程度あれば十分でしょう。コレクションしている列車をすべて登録することができます。
スターターセットに同梱されているような列車はファンクションが9個以下です。また10個以上のファンクションを持つ機関車は少なく値段も高価です。
と考えると、かなりちょうどいい状態であることがわかります。まさに「スターター」状態なのです。
このスタイルの時、しまっておく場所はだいたい棚1段分程度のスペース、遊ぶ場所は畳一畳程度でしょうか。これがいろいろな意味で、メルクリンの最小スタンダードだと言えると思います。
この範囲内で遊ぶスタイル。これは一般の人でも普通に趣味としてできる基本スタイルだと思います。家族や子供さんとも一緒に楽しめるでしょう。衝動買いしてもそんなに文句を言われない範囲だと思います。
これでは物足りない。もっと鉄道模型したい!という人は、次のスタイルにステップアップすることになります。
ここで登場するのがセントラルステーションです。セントラルステーションは、モバイルステーションより上級のプロフェッショナルコントローラーという位置づけです。つまり、モバイルステーションが初級(アマ)とすると、セントラルステーションは上級(プロ)というコンセプトです。
(2)セントラルステーションで主にできること
・複数列車の同時運転(※実際の消費電力により左右されますが6~7編成くらいなら行けます)
・最大16個のファンクション制御
・ポイントやアクセサリの制御
※ポイントを電動遠隔操作するには別途ポイントごとに別売りのデコーダーとポイントマシンが必要になります。その他別売りの機器が必要になるアクセサリもあります。
・メモリー機能
※ポイントやアクセサリの動作を一括登録しておき一度に実行する機能。例えば駅の2番線を開通させるのに、本線のポイント2カ所と構内のポイント1カ所を切り替える必要があるとすると、それを登録しておいてワンタッチですべてのポイントをその状態にすることができる。
・8列車までの単純自動往復運転
・モバイルステーションとの連携
など、レイアウトのほとんどすべての操作が可能になる(カタログの文言)スペックのコントローラーです。
実際、通常のレイアウトならこの1台ですべての操作ができます。まさに運転司令室のようなコントローラーです。
大きさも小型のパソコンくらいですし、大きな液晶のタッチパネルを触って操作する形式なので、本当にパソコンのような製品です。
ただし価格は高くて、コントローラー単体で10万円近い(実売)価格になります。そういう意味でも、これを買うと言うことは、それだけメルクリンにはまるということになるでしょう。
現実には、セントラルステーションを買う時は、ポイントを電動化して遠隔操作したいと思った時になるのではないかと思います。
そこから逆算すると、レイアウトの大きさが部屋いっぱいくらいになって、たくさんの引き込み線と駅の配線ができた時がステップアップの時期でしょう。
そこまで広げなければセントラルステーションは必要ありません。ここを越えて遊ぶかどうかは、ひとつの境界線だと思います。
反対に、将来的にこの規模で遊びたいことが明確になっている人は、最初からメガスターターセットを購入した方が良いです。メガスターターセットにはセントラルステーションと2編成の列車等が最初から入っていて、高いですが極めてお得です。
セントラルステーションがあれば、モバイルステーションは必須アイテムではなく、なくても構わないものだからです。
初期投資は20万円近くになりますが、一気にハイエンドの環境が揃うことは魅力です。
モバイルステーションのスターターセットから入った人も、ステップアップしても、モバイルステーションは無駄はになりません。2台目のコントローラーとして子機のように使えるからです。
たとえば子供や奥様に「つまみを回すだけだから簡単だよ」と言って、モバイルステーションで列車の運転だけさせてあげて、他の制御は自分がやるといった連携の運転ができるのです。
実際にイベントの運転会では、5台のモバイルステーションと1台のセントラルステーションで子供たちにそれぞれの列車を運転してもらったことがあります。中には、汽笛を鳴らしっぱなしにしてしまう子や「まだ幼くて運転操作は無理だから汽笛だけ鳴らさせてほしい」といった要望がありましたが、セントラルステーションとの連携で容易に実現できました。
汽笛を鳴らし続けている機関車がいると(陰でそっと)止めてあげたり、煙のスイッチを切ってしまったことに気がつかず、煙が出ないと言ってる子の機関車の煙を(陰でそっと)出してあげたりすることができます。
それから子供は暴走運転をしがちなので、最初から列車の最高速度を下げて設定しておく(これでどんなに加速しても一定以上には加速しないようになる)ことなどもできるのです。
セントラルステーションを買う頃は、しまっておく場所は棚ひとつ分程度、遊ぶ場所は部屋ひとつ程度になると思います。
前にも書きましたが、メルクリンは走りを追求できる鉄道模型です。
セントラルステーションのこのスタイルが、ひとつの完成形だと思います。これを越えて遊ぶと言うことは、もう鉄道模型マニアの域になるでしょう。
より大きなレイアウト、自動運転、信号システムの導入、ターンテーブルやトラバーサーといった大型設備の導入など、それでもメルクリンには走り続ける要素がたくさんありますので、そういったことにチャレンジしていくことになると思います。
繰り返しになりますが、そこまで行かなくても走らせて楽しめることがメルクリンです。
基本形のスタイルで、1年に1度ずつ新しい列車を買い足したりして遊ぶことだって、かなり面白いはずです(毎年必ず1台は欲しい列車が発売されるものです)。このペースでモバイルステーションのリストがいっぱいになるのには10年かかります。けっこう遊べると思いませんか?
どれだけ伝わったかはわかりませんが、メルクリンは大きくも小さくも、走らせて遊べる模型です。
また、鉄道が好きでなくても楽しい模型でもあると思います。私は鉄道ファンでもあるのですが、メルクリンは好きだけど鉄道ファンではないよ、という方もかなりの数いることに、当初は驚きました。
日本の鉄道模型はそうではないように思います。列車の編成を知らない人、列車の型式番号を知らない人は、模型を遊ぶなんて許されない!なんて雰囲気があるように思います(個人的な感覚ですが)。
変な話、日本の鉄道模型運転会で、新幹線の前に機関車を連結して走らせたら怒鳴られるような気がします。でもメルクリンの運転会で「この編成はおかしい」とか「フランスではこんなことはしない」なんて言っている人を、見たことはありません。
私もそうですが、外国の模型だけに、実物を知らないで買ってしまうこともあると思います。海外で同じ車両を見かけて、「あ、これだ。模型とそっくり!!」(実は逆なのでとても変なのですが)なんて思うこともあります。
とにかく堅苦しくなく遊ぶことができ、現代人の家の中で普通に遊べて、価格も適切なものだということが、伝われば幸いです。
いろいろと書いてきましたが、明日で最終回です。
最後の明日は魅力ではなく、少しだけですが、弱点やリスクについてのお話です。
どんなものでも良いことばかりではないので、あえて悪いところを書きます。
メルクリンの魅力(4)
メルクリンの魅力の4回目です。今回も物議がある内容かもしれませんが、とりあえず現状感じているままに書いてみます。
5.場所と収納スペース
価格とできることを書きましたので、今度は場所の問題です。
独身の方、自分である程度好きにできるスペースを持っている方、大きな邸宅に住まわれている方等でない限り、一般の人にとって場所の問題は、鉄道模型を趣味にする上で大きなテーマになってくると思います。
私はジオラマ作りの否定派ではないのですが、現実的には雑誌やテレビで紹介されるような、作り込んだ情景がある固定式のレイアウトというのは、かなり難しい代物だと思っています。
メルクリンのターゲットは大人ですが、普通に家庭があるサラリーマンの男性の立場で考えると、都会では鉄道模型用の固定スペースを得ることは、まず困難だと思います。
「畳一畳あれば・・」なんて言いますが、東京の畳一畳がどの程度の価格であることか。毎日利用するトイレや風呂場のサイズでさえ、広告になってしまうような都会です。
もちろん東京がすべてではないですが、特に都市部では生活必需品でないものについて、恒常的にスペースを占有することは認められにくいと思います。
鉄道模型のレイアウトと同等または大きなものを考えてみます。
一般家庭では、たぶん車(駐車場)、リビングテーブル、ベッドくらいしかないのです。鉄道模型はこたつよりも大きいのです。しかも趣味のもの。こんなものが年中部屋の中にあってOKですという環境は、恵まれているということになると思います。
固定式ジオラマの問題のひとつには、収納できないことがあると思います。
もし、広げた時には部屋いっぱいになるのだけれど、普段はクローゼットの中にしまっておける状態にすることができれば、話はかなり変わってきます。遊ぶ時だけなら仕方がないか・・ということになるのです。
そこで「お座敷レイアウト」がはじめの線路の形態になると思います。
お座敷レイアウトとは、遊ぶ時だけ線路を出して繋げて、遊び終わったら線路を分解してまたしまう形のレイアウトを指します。
板の上に風景を作り込むことはできませんが、ストラクチャー程度なら並べることができますし、毎回線路の形を変えることだってできて、意外と楽しめる形式だと思います。
メルクリンはこのお座敷レイアウトにも向いています(もちろん固定式のレイアウトに向いている線路も用意されています)。
多くのスターターセットに同梱されているCトラックは、まさにお座敷レイアウトにぴったりです。Nゲージやプラレールの線路のように、壊れにくく、組み立て/分解が簡単です。
同じHOの日本製の線路と比較しても、通電性はかなりよく、レールを繋げていっても電圧降下等は起きにくくなっています。
基本的なポイントを電動化した際にも、モーターやデコーダーは線路内に収納されますので、見た目も綺麗ですし配線の手間もありません(普通の線路と同様に繋げるだけです。※一部できないポイントもあります)。
我が家でも、線路は普段クローゼットの中のプラスチックの工具箱に無造作に入っています。子供がおもちゃをしまうように、がらがらと入っているだけです。でも壊れたりしたことは一度もありませんし、走行性能が悪くなったこともありません。布で拭いたりといった手入れもしたことがありませんが、問題なく走れています。
レール面は、クリーニング貨車といって走ると自動的に拭いてくれる貨車があって、これを運転前に1周程度走らせるだけですが、集電不良が発生したことは一度もありません。
このメンテナンス性の良さが、お座敷レイアウトでは重要なポイントだと思います。走らせる時には、すっとだしてさっと走らせたいからです。走らせるまでに何時間もかかるのでは、貴重な趣味の時間がもったいないです。
もうひとつ。メルクリンがお座敷レイアウトに向いている点があります。
それは集電方式が3線式だということです。
3線式とは、左右のレールだけでなく中央のレールからも集電する方式を言います。メルクリンのHOはこの方式を採用しています。実はHO鉄道模型の中では、他社とは大きく異なる方式です。
3線式は走行性能が安定するだけでなく、レイアウト(線路の形)を、自由に設計できるという大きな利点があるのです。
え?線路は自由に敷けるのではないの?という疑問があると思いますが、普通の2線式(例えばNゲージ)線路はそうではないのです。
小判形に敷いている時は問題ないのですが、例えば、線路の端をぐるっと円を描いて180度向きを変えて、また元の線路に合流するような形に敷く(アルファベットのPのような形)と、電気の両極が短絡してしまい、列車が走ることはできないのです。このような配線をリバース配線と言います。
リバース配線は他にもあって、小判形の線路の中を斜めに横断するように(駐車禁止のマークのように)敷いてもだめです。
2線式ではリバース配線の区間は電気的に絶縁する必要があります。また、その区間を意識しないで運転できるようにするために、特別な機器を設置したりする必要があります。これらはその区間に特別な作業が発生するので、お座敷レイアウトには向いていません。
メルクリンでは3線式なので、どのように線路を敷いても、常に中央に対して左右対象になるため、リバース配線の問題は発生しません。絶縁や特別な機器も必要ないのです。
リバース配線の問題は、実はスペースと密接な関係にあります。
2線式のようにリバース配線を避けるためには、レイアウトの形はどうしても小判形を基本とするしかなく、結果として四角い形に一定規模のスペースが必要になるのです。
これは絵で説明する必要がありますので、いくつかレイアウトの絵を描きました。
リバース配線をしないで、本線と駅や引き込み線を実現しようとすると、こんな形になります。

一方で、リバース配線が許されている場合には、こういうことができます。

Aと比較してCの方がホームに止められる列車の有効編成長が長くなることがわかります。
リバース配線に縛られない方が、同じスペースでも多彩な運転ができる線形が組めて、有効活用できるのです。
Dの図のような形であれば、変則的な空間(廊下の一部やデッドスペース)でも、中央の細長いところで見ていると、ひっきりなしに列車が左右から走ってきては駅ですれ違っていくので、少ない編成でもかなり面白い情景を見ることができます。
さらにもっと省スペースを考えた時には、メルクリンがデジタル方式の鉄道模型であることが活きてきます。
最悪、机の上に、一定距離の直線を敷くスペースしか確保できなかったとします。
ポイントが1個だけしかないような(分岐が1カ所で3方向にレールが延びているだけの)レイアウトは、アナログ式の単純な配線では結局1台の機関車でしか遊べません(同じ電気セクション内では同時に動いてしまうため)。
ところが、メルクリンでは縦列駐車のようにしても遊べるため、これだけでも3台程度までの機関車を動かして、入れ替え遊びができるのです。しかも、ライトが点き、音が出て、煙が出たらどうでしょうか。これだけでも十分楽しいのではないでしょうか。
逆転の発想で、これだけの線路で情景を作り込んだ固定式レイアウトを作ったとしても、かなり遊べるような気がします。
私の経験では機関車は箱にしまってしまうとなかなか遊びません。
ちょっとした距離でも出してあって飾ってある機関車は、平日のわずかな時間でも少し音を出してみるとか、ちょっと走ってみるとか、遊ぶ機会が多いように思います。
そういう意味では、お座敷レイアウトであっても、機関車1台くらいはどこかに飾ってあるというような状況が、一般に普通の人が実現できるスペースと収納ではないかと考えます。
このような条件下でも、メルクリンはとても魅力的な鉄道模型だと言えると思います。
メルクリンの魅力(3)
4.メルクリンでできること
メルクリンの鉄道模型(HOと1番ゲージ)ではデジタル方式の操作方法が採用されています。
これは日本のNゲージ等で普及しているアナログ方式と、電気の種類や動作の概念が異なります。
つまり同じ鉄道模型でも「遊び方」「遊べる内容が違う」のです。メルクリンの方が幅広い遊び方ができます。
例えば、メルクリンでは次のようなことが可能です。
(1)ひとつの線路の上に、同時に何台もの列車を個別に走らせることができる
本物の鉄道と同じように、各列車(動力車)を個別に操作できます。
Nゲージ等では同じレールの上に複数の動力車を置くと、同時に動いてしまいますが、メルクリンではそういうことはありません。縦列駐車のようになっていても機関車1台ずつを自由に操作できます。
極端な話、正面衝突すらできてしまう操作方法です。もちろん正面衝突を未然に防ぐような設計をすることもできます。
(2)ひとつのコントローラーで、何台もの列車を個別に操作できる
同時に走っている列車が複数あっても、コントローラーはひとつで済みます。
また反対に、コントローラーを複数個用意して複数人で分担して遊ぶことや、コントローラーに親子関係を持たせて、子のコントローラーで運転できる列車を制限したりすることもできます。
この機能は運転会などで、誤って他の列車を操作してしまったりすることを防ぐ目的でも使えます。また一人が列車の運転をして、もう一人が汽笛や煙の操作をするといった使い方もできます。
(3)停まっていてもライトが点く、走行音が出る、煙が出る等、機能が豊富
列車のファンクション(機能)を使用するのに、列車が走っている必要はありません。ライトの明るさも常に明るく一定です。
SLの煙突からは煙が出せます。また列車の速度に合わせて走行音を鳴らすことができます。
一度このような列車を走らせてしまうと、もう無音の列車はつまらなく感じてしまうほどです。
特殊な車両ではクレーンを回転させたり、パンタグラフを昇降させたりすることができるものもあります。
(4)ゆっくり(超低速)でも安定した走行、坂があっても速度は一定、動きが滑らか
線路への給電状態が安定しているので超低速でも安定してゆっくりと走ります。
また上り坂や下り坂で、列車常に一定の速度で走るようになっています。登りだからコントローラーのつまみを回して速度を上げたり、下りで急に加速したりすることはありません。この機能のおかげで、坂のあるレイアウトでも安定した走りができるので、レイアウトの線形によって運転性能が損なわれることはありません。
加減速、発車、停車の動きがとても滑らかです。本物の列車と同様にすーっとした動きを再現できます。
(5)ポイントを電動化しても配線は増えない
列車を増やしたり、ポイントを電動化しても、配線を増やす必要はありません。(※基本的なものに限る。一部のポイントや設備では配線が別途必要になる場合もあります)
レールを繋ぐだけでポイントを遠隔操作することができます(※コントローラーがセントラルステーションの場合)。
(6)コントローラーに画面があるので操作がわかりやすい
列車を操作する際に、コントローラーに画面が付いているので、列車名や図を見て指示が出せます。わかりやすいですし、間違って操作することも防げます。
セントラルステーションを使えば、列車だけでなく、ポイントや信号機等も1つのコントローラーですべて制御できます。また列車を単純に往復運転させたりするような、簡単な自動運転もできます。
どうでしょう。一言で「列車を運転する」と言っても、できることが全然違うことがおわかりいただけるのではないかと思います。
メルクリンを買うと言うことは、自宅が運転司令室になるということだとイメージしてください。
従来の鉄道模型は列車の運転士になることはできました。メルクリンでももちろんできます。しかしそれだけではなく、複数列車を制御したり、信号機によって、列車の運行を確保したりと言った運転司令室の役割も体験することができる模型なのです。
メルクリンでは、コントローラーは電圧の調整機ではありません。インテリジェンスな運行指示機なのです。
従来のアナログ式の鉄道模型では、「運転する」とは、列車の状態(速度等)を目で見ながら、つまみを回して速度を調整することだったと思います。
メルクリンでは違うのです。人間が行うのは列車に指示を出すことです。
速度の調整も感覚的に行うのではなく、明示的に「このくらいの速度で走れ」と指示します。グラフや図形をみて、最高速度の半分の速度で走れ(最高速度は列車個別に設定することさえできます)とか、そういう操作をするのです。
発車する時も徐々につまみを回す必要はありません。いきなり速度を指定すれば、そこまでは列車が勝手にゆっくりと加速して行きます。
信号機をレイアウトに組み込めば、信号機を青にするだけで発車したり、赤にするだけでその位置まで滑らかに減速して停車するのです。
これによって複数の列車が走っている時でも、操作に追われることなく、人間はレイアウト全体の運行状態を把握することができるようになっています。
もちろん運転だけに注力したい人は、アナログ式と同じような運転モードにする(機関車をダイレクトに操作する)こともできます。
ポイントの切換等も革新的です。もう何番がどこのポイントだとか、そういうことは覚えなくていいのです。
セントラルステーションでは、画面上に自分で「3番線を開通させる」「ヤードの5番に開通させる」「外周内周をクロスで開通させる」といったパターンを登録することができ、図形に触るだけですべてのポイントが連動して動きます。
ポイントの切換ミスで脱線や衝突することはかなり減りますし、目視できない位置にあるポイントの操作も安心感があります。
おそらくは実際に見ていただくのが一番で、テキストでどこまで想像していただけるかはわからないのですが、メルクリンが「走る鉄道模型である」ということは、このようなことが、メーカーから発売されている純正品だけで、誰でも手軽にできることを意味しています。
※今日も文字だけですみません。
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