ハイグレード列車E655系の旅(その1)
三連休最後の日曜日の11月25日、JR東日本のハイグレード列車「E655系」で旅行してきました。
ハイグレード列車E655系は今年完成したばかりのJR東日本の新しい車両で、お召し列車にもなる高級列車です。従来から天皇陛下や皇室関係者に利用されてきたお召し列車が老朽化したことから新造されたのですが、お召し列車以外にも海外要人の移動や団体旅行の目的にも使用できるように考慮されて設計されました。
試運転が終わり、この三連休に一般客を乗せた初のツアーが実施されました。
ツアーはJR東日本発足20周年記念特別企画「豪華ハイグレード列車の旅」というもので、JR東日本の「大人の休日倶楽部」会員限定の企画です。
「大人の休日倶楽部」は満50才以上の男女が入会できるJR東日本のシニア向けの旅行会員サービスです。私本人は年齢が規定に達していないので入会できませんが、全員が旅行好きな我が家では私の母が会員になっています。ツアーは会員の人と同伴なら非会員でも参加できますので、今回は母と二人でハイグレード列車に乗りに行きました。
ある日、私がたまたま実家に戻っている時に、郵便屋さんがJR東日本の旅行カタログを届けに来ました(大人の休日倶楽部では毎月会誌等が送られてきます)。母が開封すると中に今回の企画のパンフレットが入っており、その場で参加を即決。電話で申し込みました。このツアーは先着順だったので良かったのですが、最終的には100倍以上の応募倍率になったそうで本当にラッキーだったと思います。
ちなみにJRに電話をしたら、(私もビューカード等いくつかの会員になっているため)住所等の登録情報の代表者が私になっていて、「大人の休日倶楽部」であるにも関わらず私の名前で代表参加登録されました。これは個人情報の観点からはちょっと不思議な気もします。まあ家族なので良いのですが。JR東日本で一括管理ということなのでしょう。
ツアーは全部で23日から25日まで4つのコースがありましたが、我が家ではDコースを申し込みました。
いずれのコースも片道ハイグレード列車での移動となりますが、全日程が1泊のコースと日帰りのコースに分かれており、さらにハイグレード列車への乗車が往路のコースと復路のコースが選択できます。
Dコースは日帰りで復路にハイグレード列車に乗るコースです。コース選択も母と意見が一致したので、カタログを開封してから申し込みまでは数時間もかからなかったと思います。
ということでいよいよ当日。天気は雲ひとつない快晴で素晴らしい行楽日和となりました。
まずは東北新幹線「やまびこ号」で新白河まで行き、そこからバスで福島県の山奥の高原にあるブリティッシュ・ヒルズを見学します。ここは東京の外国語学校が開設した英語の学習用施設で、日本にいながら建物、講師、風景などが本場イギリスそのものに作られているというところです。
観光客は別ですが、生徒さんや関係者は原則として敷地内では日本語厳禁で英語のみで会話します。日本にいても英語付けの環境が整っていることがセールスポイントです。
観光的な要素としては、風景がヨーロッパ風であることと、施設内の建物や調度品がすべてイギリスの職人さんによって手がけられた高価で価値のあるもので揃えられているため、これらの見学が主体になります。
ちなみに写真の床に敷かれている丸い絨毯は、バブル時の価格ですが、購入当時は1枚で1億円したそうです。この他にも贅沢の限りを尽くしたコレクションをいろいろ見られます。
ブリティッシュ・ヒルズ内は映画『ハリー・ポッター』の世界そのものといった感じで、まさにイギリスにいるかのような風景が展開します。食堂もハリー・ポッターのホグワーツ学校と同じように、上に教授、下に生徒が並んで座る形式で雰囲気はばっちり英国に浸れます。
廊下の所々には昭和天皇をはじめとした皇室の方々の肖像画が掛けられていて、こちらもお召し列車に相応しいハイグレード感が漂います。
ここで気分を盛り上げ昼食を摂ってから、いよいよハイグレード列車「E655系」に乗り込みます。
ハイグレード列車には新白河駅から上野駅までの東北本線(在来線)区間に乗車します。列車自体は同日に帰京する1泊コースの人を乗せてくるため、郡山駅からやって来ます。新白河駅には5分間停車し、ここで我々を乗せて上野まで向かうという予定です。
あらかじめホームに列車が止まっていて記念撮影するといった流れではないため、座席の方は母に任せて、私は新白河駅のホーム端に移動してカメラを構えてハイグレード列車を待ちます。
沿線は鉄道マニアがたくさんカメラを構えていましたが、新白河駅は良い撮影ポイントではないためか人が少なくて助かりました。
新白河駅の案内板にはこの列車の情報は全く掲載されていません。団体専用列車があることもわからない状態です。
※14:00発黒磯行き普通と15:03発黒磯行き普通との間、14:12発の上り列車としてハイグレード列車が設定されています。
また行きの新幹線は切符がありましたが、ハイグレード列車乗車用の切符は配布されませんでした。座席の指定番号を書いた紙と、上野駅から東京都区内各駅への帰りの切符(団体旅客乗車票)のみでの乗車です。特別な列車なので切符の発券ができない(必要がないため登録されていない)のかもしれません。
14時過ぎ。直線の彼方からハイグレード列車がやって来ました。
3本の金帯が入ったダークブラウンの車体に高輝度の白いヘッドライトがまぶしいです。思ったよりゆっくりとした速度でホームに横付けになります。快晴の空から降り注ぐ太陽光に反射した車体は、濃い茶色から紫色へと、角度によって微妙に色が変わります。
列車がホームに差しかかった際に警笛を鳴らしたのですが、音は山手線や東海道線といった普通の通勤列車に使用されているものと変わらない今風の電子音でした。ハイグレードな音を期待していただけになんだかちょっとだけ拍子抜けです。
大急ぎで乗車ホームに戻り記念撮影をしてから乗り込みます。
ホームに止まった5両編成のE655系は、お召し列車そのもののようにピッカピカに磨かれて光っています。特に側面はまるで鏡のように光っていて、周囲の風景をすべて反射して映し込んでしまうほどです。見る角度によっては列車の車体や色が見えず、鏡を介して景色が左右対称になっているかのように見えます。SF映画で「光学迷彩」という、周囲の風景に溶け込ませて目に見えなくする未来の隠れ身の技術がありますが、それを実現したかのような綺麗さです。
写真を撮影しても、まるで鏡を撮っているような感覚でとても苦労しました。
後日、ビデオも掲載したいと思いますが、本当に列車が見えないような錯覚を覚えるシーンがあります。
車体側面に付いたフルカラーLEDの行き先表示器には「団体」の文字とともに、グリーン車のマークと号車番号が表示されています。列車名や行き先の上野はどこにも書かれていません。このあたりも特殊な列車を演出しています。
14時12分。定刻通りに発車です。
発車は驚くほど滑らかです。いきなりハイグレードの出来映えを見せつけられました。
発車時の揺れは全くありません。大げさな例え方かもしれませんが、鉛筆を立てて置いたとしても転ばないでそのまま走り出していく、そんな感じです。気をつけていないと、いつ走り出したかわからないほどスムーズなのです。今までいろんな列車に乗ってきましたが、新幹線を含めてこれほど完璧な発車は体感したことがありませんでした。
これは新白河駅だけでなく、宇都宮駅(運転停車)、大宮駅でも全く同じでしたので、運転士さんの腕前もあると思うのですが、列車の制御技術もそれなりのものだと思います。正直、発車だけでもハイグレード感は十分味わえました。
さあ、これから2時間45分間の豪華ハイグレード列車の旅が始まります。
明日は車内の模様をお伝えしようと思います。お楽しみに!
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