利尻島・礼文島へは、稚内からフェリーが出ている。しかし稚内は東京からは遠く、空の便も数が少ない上に、フェリー乗り継ぎの時間があまり良くない。1日目はどうしても移動だけになってしまうのだ。以前は、稚内−利尻、稚内−礼文間に飛行機が飛んでいたようだが、今年の春に全便廃止されてしまっているらしい。代わりに、千歳−利尻間に1日に1便だけ定期便の飛行機が就航しているので、今回はこれを利用することにした。
東京(羽田)を9:30頃に出発して、千歳で乗り換えると、利尻空港には12:45に到着する。知り合いが農業を営んでいる三重県に行くときは、東京を6:00に出発しても、着くのは同じく昼頃だから、利尻島は、考えようによっては三重県よりも近いということになる。最果ての島。行くことが難しいという気がしていたが、意外と身近に感じてしまう。
1日目は利尻島は観光せず、そのまま13:15発のフェリーで隣の礼文島に渡る。帰りも利尻空港から飛行機で帰ってくる予定なので、こちらの方が効率的に観光できるからだ。
あれ?ひとつ気になることがある。飛行機が着くのが12:45で、フェリーが港を出るのが13:15。間に合うのかということである。結論から言ってしまうと、少々無理をすることになるので、間に合う場合もあるがお奨めできない。
事前に利尻島に電話で確認したのだが、そのときは『30分あれば大丈夫です』と言われた。が、しかし、当日は利尻行きの飛行機が遅延していたのだ。さらに、利尻空港から港(鴛泊[おしどまり]港)までは一般の交通機関がない。タクシーを利用することになるのだが、離島なので空港にタクシーは2〜3台しかいないのだ。
結論から言うと、今回は千歳で飛行機の遅延がわかった時点で利尻空港に電話をかけ、ANAの方の多大なるご協力があってフェリーには乗船できた。飛行機がかんばって飛んでくれて遅延が5分に縮まったのと、空港側であらかじめタクシーを捕まえてもらっていたからだ。ただ、やっぱり余裕を持って行動したいとは思う。反省しきり。
ちなみに、万が一フェリーに乗り遅れても、今回のケースでは、沓形港を15:20に次の船が出発するので、次点としてはこの便を利用することを考えていた。
フェリーは大型でとても快適。シーズンだからか、観光バスで来たツアーの人も多い。
鴛泊港を出ると、すぐにカモメが船の後をくっついて一緒に礼文島まで旅してくれる。乗客の中にはカモメに餌をあげる人もいて(良いことではないらしいが)、カモメは船の横を並んで飛びながら、人間の手から素早く餌を取って舞い上がっていく。見ているだけで飽きないので、あっという間に礼文島(香深港)に入港する。
朝から何も食べていなかったので、港の近くにある炉端焼きの食堂で『元祖・うに丼』なるものを食べる。メニューにはふつうの(?)『うに丼』も載っている。 『元祖』とそうでないただの『うに丼』の違いは、うにが特製塩漬けうにか、生うにかの違いだ。生うにを使ったふつうの『うに丼』は、よく雑誌でも紹介されている、ご飯に山のようにうにがかかったどんぶり。対して『元祖』の方は、お店自家製の塩漬けうにが乗っかっている。
店員さん曰く、元祖は見た目は悪いが味はいい、そうだ(写真参照)。また、元祖という名の通り、これがうに丼の発祥のスタイルとのこと。『元祖』を注文した。いっしょに行った友人は、ほっけのちゃんちゃん焼き定食を食べていたが、こちらもおいしそうであった。
お腹を満たして、さあ観光だ。まずは『桃岩展望台』に行く。ところが、またしてもタクシーが1台もいない。離島なので極端に数が少ないのだろう。
ほかに島の公共交通機関は、1日数本のバスしかない。観光案内所からタクシーに電話をしてもらったが、すぐに港まで来られる車はないとのことで、15:15発のバスで桃岩に向かうことにした。
フェリーターミナルの前のバス停で待っていると、意外と大型のバスがやってきた。私たちを含めて数人を乗せて走り出す。
香深の町をぐるりと一周してから、島を反対側へと超える急峻な峠道を登っていく。峠を越えたところが桃岩展望台への登山口になっており、そこで降りた。周囲はひたすら笹の生えた山肌が広がるばかりでバス停以外何もない。
後でわかったのだが、車(マイカー、レンタカー、タクシー)で来れば、脇の道を上がっていったところに駐車場があり、展望台のすぐしたまで登れるようになっていた。バス停は、展望台のはるか下にあるので、笹の道をいくらか登って行かなくてはならない。けっこうな運動になる。
展望台に上がると、これぞ自然を満喫!という素晴らしい風景が広がっている。眼下に猫岩を望み、岩というよりはちょっとした山のような桃岩が目前にある。ふと、左の方角を見れば、海上には利尻富士が浮かんでいた。
桃岩を後にして、再びバス停まで戻る。次は島の西側にある夕景スポット『地蔵岩』に行きたい。
バス停の時刻表を見ると、バスは多くて1日5便しかなく、次の最終便は17時半頃である。これでは遅すぎるので、地蔵岩まで歩いていくことにする。
道は桃岩の麓にある桃岩トンネルへと続いている。それが当然であるかのように、歩道などついていないので少々気が引けるが、意を決してトンネルに突入。反対側へと抜けると日本海が待っていてくれた。
天気は雲が多く、晴天というほどではないが、雲間から差し込む夕映えが海面に輝き、幻想的な風景だ。グリーン一色で覆われた起伏に富んだ島肌は、まるでファンタジー映画に出てきそうなほど。
観光客を乗せたバスがわりと激しく往来するアスファルト道を、遙か下方に見える港に向かって降りていく。
地蔵岩は港の一番奥にあった。海岸に突き出た岩が、刃物で切ったようにスパッと割れている。日本海に沈む夕日を眺めていると、ついつい時間を忘れてしまう。
帰りは宿の人に事前にお願いして、港まで迎えに来てもらった。久種湖のほとりにある宿は、島の北端にあるので、車でも30分くらいかかった。
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夕映えの空が広がる |
真っ二つに割れた地蔵岩 |
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最果ての海に日が沈む |
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