朝起きると曇り空だった。秋の中欧は気温は涼しく快適だが、天候の変化が激しい。日が差したり曇ったりという、なまやさしい変化ではなく、雨と快晴を2時間ごとに繰り返すような、非常にころころと変わる天気なのである。晴れていても、曇っていても、常に傘を持ち歩いた方がよい。
ブダペストは街の中心部を南北にドナウ川が流れている。これによって、街が東西に分断されており、西側がブダ地区、東側がペスト地区となっている。だからブダペストなのだ。
東西の都市は、観光名所になっている『くさり橋』をはじめとした、何本かの橋によって結ばれている。全体的に西側のブダ地区の方が、王宮や有名な教会等がある山の手の高級住宅地となっており、土地も丘陵地帯となっている。東側のペスト地区は商業の中心地区があったりして、庶民的な雰囲気も漂っている。土地も比較的平坦な地形だ。
ホテルはペスト地区のブダペスト東駅のすぐ近くにあり、窓からはまさにヨーロッパの駅といった雰囲気のホームが何本も見える。まずはペスト地区から観光スタートだ。
最初は英雄広場へと向かう。ここはハンガリーの歴代の王や英雄たちの彫像が並ぶ大きな広場だ。中央には大天使ガブリエルの像がそびえ立っており、その足下にマジャル族の首長アールパードがいる。背後を初代イシュトヴァーン王をはじめとするハンガリーの王や英雄たちが囲む。
これらの特徴は彫像が手に持っている十字架が、普通の十字架ではなく、ダブルクロスと呼ばれる+が2つある十字架であるということだ。
英雄広場の次は、初代王イシュトヴァーンの名前が付いた、聖イシュトヴァーン大聖堂を見学する。ハンガリーの国教をキリスト教徒したのがイシュトヴァーン王ということで、ここの祭壇にはキリストではなく、彼の像が祭られている。さらにキリスト教では、聖人の身体の一部を保存するのが聖なることとされているそうで、王の右手のミイラもいっしょに保管されている。
今回の旅行では、特にこのようにミイラや骨を保存指している教会が多かった。
ここで少々街中を散策。観光に来ると名所を重点的に見てしまうが、ごく普通の街を見てみることも私は好きである。周囲はどの建物の古い石造りで、ヨーロッパに来たという雰囲気を十分に味わえる。石畳の道も多い。
トロリーバスが今でも現役で使われており、ひっきりなしに走っていることを除けば、想像していたよりも元共産圏の国というイメージはない。地下鉄が通っているのだが、これはヨーロッパでは3番目に早く作られたものということだ。
また、特にレストランやお土産物店では、片言でも日本語を話してくれるハンガリー人(マジャル人という表現が本当の言い方らしい)が多いのに驚いた。聞けば、ハンガリー語(マジャル語)は、言語の文法が日本語に近いのだそうだ。「てにをは」が名詞の後に付いたり、名前が姓+名だったりする天などが共通しているらしい。発音も日本人がマジャル語を発音するのは少々難しいのだが、逆にマジャル人が日本語を発音するのはあまり苦にならないらしい。実際、現地の人が話す日本語は大変聞き取りやすい。ヨーロッパの中では難解な言語とされているのだが、はるばる日本から来て共通点があるものを発見すると、なんだかにうれしくなる。
ドナウ川に架かるくさり橋を渡ってブダ地区へと移動する。くさり橋はブダペストで初めてブダ地区とペスト地区を結んだ橋である。イギリス人によって1849年に完成した。日本にもイギリス人が設計した古い橋がいくつか残っている。産業革命当時のイギリス科学力の影響の大きさは本当に大きかったことがわかる。
ブダ王宮やマーチャーシュ教会があるエリアは、小高い丘になっており、城壁に囲まれている。ドナウ川沿いに建つ漁夫の砦からこの丘へと登っていく。
漁夫の砦はブダペスト市内を一望できる景観の良いところだが、建てられたのはつい100年ほど前で、歴史的にそんなに意味があるわけではない。漁夫の砦という名前も、近くに魚市場があるとか、昔砦を守っていたのが漁師だったとか、そういったことからある意味適当に着けたらしい。眺めは良いので、休日ということもあって観光客でごった返していた。
漁夫の砦の背後には三位一体広場やマーチャーシュ教会がある。三位一体広場では、今日は吹奏楽の演奏が披露されていた。
歴代の王が戴冠式を行ったというマーチャーシュ教会に入る。中は薄暗いが厳かな空気に包まれていた。ここは、16世紀の初め、オスマン・トルコ軍によって一時期モスクになっていたという珍しい教会だ。いまではきらびやかな祭壇やステンドグラスがあるが、まだまだ一部にモスクの時の名残があるようだ。
教会を出て、丘の上を王宮に向かって進む。周りは観光客が多く、とてもにぎやかだ。お店の数も多い。第2次世界大戦での鉄砲の弾の跡がついた壁などを見ながら王宮に入る。
ここでも、噴水や建物の飾りなど、見事な彫刻が多い。動物や人は、どれもまさに今にも動き出そうかという躍動感があり、彫刻のポーズも活き活きとした動作の瞬間を捉えたものが多い。
王宮は今では美術館などとして利用されているようで、行ったときにはちょうど中国展を開催してた。入口に真っ赤な恐竜もどきのオブジェが置いてあったが、ちょっとミスマッチである。
王宮見学後はエレベータで一気に丘の麓におり、今度は隣のゲッレールトの丘へと登る。ここからはブダペスト全域が綺麗に見渡せる。公園になっているのだが、観光客目当ての土産物屋も多い。土産物屋でよく売られているもののなかにチェス盤とチェス駒のセットがある。小さなサイズだとお手ごろ価格なのだが、どうしてここにチェス盤があるのかというと・・・。
日本とハンガリーの共通点の2つ目。それは温泉である。ここゲッレールトの丘近くにも、温泉がいくつかある。もっとも温泉といっても、日本の露天風呂とは違い、水着を着て入るスパであるが。水温も低くプール感覚に近い。
実はチェスは、この温泉で使われている。水温の低い温泉に、水着を着て長い時間入るのがヨーロッパのスタイル。温泉に入っている間は暇になるので、湯船(というかプール)に突き出た台でチェスの対戦をするのだ。

聖イシュトヴァーン大聖堂の天井 |
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ブダペスト東駅 |
ブダ王宮を望む |
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