Zゲージ入門 2005年2月

 Zゲージは線路幅が6.5mmしかない、商用製品では世界最小の鉄道模型です。Nゲージよりも小さいので、机の上や棚などでも走らせることができます。日本家屋との相性も良いと思います。
 しかし、Zゲージ購入時に気をつけたいことは大人向けの商品であるということです。パッケージにも「for ADULT」と書かれています。
 よくNゲージよりも小さいから簡単だろうと思う方がいると思いますが、これは大きな間違いです。Nゲージだけでなく、HOやGゲージよりも、取り扱いに注意を要し、かつ、壊れやすくて、常時メンテナンスを必要とします。言い換えると、すぐに壊れますし、保守作業をしないとまともに走ってくれません。
 手間はかかりますが、机の脇を駆け抜けていく蒸気機関車などは、世話の甲斐もあってまさに可愛いやつ、といった満足感が味わえます。

 

    必要なもの  

 Zゲージを走行させるのに必要なものは、パワーパック、線路、動力車両の3つです。
 箱に入った通常のスターターセットを購入すれば、これら全部がセットになって入っています。

(1)パワーパック
トランス一体型です。各国向けがありますので、通販の場合には注意してください。日本向けは67201です。
(2)線路
線路のうち1本は、フィーダー線路と言って、リード線を取り付けるための器具が付いています。
(3)動力車両
写真のものはBR89蒸気機関車。メルクリンを代表する機関車で、Zゲージの中でも(メルクリン純正では)最小の機関車です。このモデルはクリスマス仕様なのでゴールドに塗装されています。

 ここで、注意しておきたいのは、右の写真のような9Vの乾電池式パワーパックです。 これはファンスターターセットと呼ばれる、もっとも小さなスターターパックに同梱されているものです。ファンスターターセットは、約2万円前後で販売されていて、プラスチック製のパッケージになっています。
 この電池式のパワーパックでも、Zゲージを走らせることはできますが、速度のコントロールはできません。スイッチがあるだけで、速度調節用のつまみがありませんので、スイッチオンで走行、オフで停止という動きになります。それから電池が切れたら買ってこないとだめですので、本格的に遊ぼうという場合は、別途パワーパックだけ購入する方が良いでしょう。

 

    走らせてみよう  

 まず線路を繋げます。最初は単純な円をひとつ作るのがよいでしょう。線路にはフィーダー線路と呼ばれる、パワーパックからのコードを接続する線路があります。これを必ず1つ組み込んでおくようにします。
 次に、パワーパックと線路をコードで繋げます。赤と茶色の線がありますので写真のように接続します(下の写真も参考にしてください)。写真の通りに接続すると、パワーパックの回す方向と機関車が最初に動き出す方向が一致しますのでわかりやすいです。配線が逆になっても、機関車の走行方向が反対になるだけですので特に問題はありません(ただし後述の架線集電を行う場合は注意が必要です)。
 動力車両をレールに乗せます。小さくて大変なのでリレーラーを使用すると良いでしょう。リレーラーとは、車両をスムーズに線路に乗せるために使用する、赤い色をした滑り台のことです。箱に入っているパワーパックが付属しているスターターセットなら、たいてい付いています。車輪が脱線しているなどのミスを減らすことができます。
 配線が完了して、動力車両をレールに乗せたら、電源をコンセントに接続します。
 パワーパックのつまみを回します。列車が走り出せばOKです。

 パワーパックのつまみを回しても列車が動かない場合は、すぐにつまみを0の位置に戻して、配線や車輪がきちんとレールに乗っているかなどを確認します。
 そのまま放置しておくと、モーターに負荷がかかり、最悪の場合には焼き切れて二度と走れなくなります(専門店での修理が必要になります)。その他、走行中にショートして止まってしまった場合や、通電状態が悪く、列車がぎくしゃくとした走りをしている場合も同様です。
Zゲージの場合には、モーターが小さくて壊れやすいので、無理な電力をかけることは常に避けてください。
  また、最初だけ機関車の背中をコツンと押してあげると走り出すことがあります。試してみてください。

 どうもうまく走行できない、または走りがギクシャクとしている、という場合には、線路を整備します。
 Zゲージで走行状態が安定しない理由のほとんどは、レールに問題があります。モーターや機関車側に問題があることは少ないです。
 まず、線路の接続部分は、しっかりきっちりとつながっているでしょうか。ずれていたり、隙間が空いたりしていませんか。
 次に、レール表面(車輪が当たる部分)を、眼鏡用の布等で、ごしごしとよく拭き取ってください。箱から出して最初に走らせる場合、長い間走らせていなかった場合には、特にレールが汚れています。また、組み立てるときに、人間が手で触って線路を繋ぐので、どうしても油で汚れます。たとえば線路上にある1mmのゴミでも、6.5mmのZゲージにとっては大木が横たわっているような状態に相当します。ですので、とにかくがんばって1週ゴシゴシします。これだけでも見違えるように動きが良くなるはずです。

 走行中は、パワーパックのつまみはだいたい図のような位置が適正範囲です。これより出力が小さいと、通電が不安定になって走り出さなかったり、止まってしまったりします。実際の電車のように最初はそろそろと走り出すのではなく、ある程度一気に回してしまってから、好みの速度にあわせる方が確実です。また、通常のZゲージでは超低速走行というのは無理があります(デジタル改造すれば超低速走行ができるようになります)。安定して走るためにも、スロットルはある程度回すようにしましょう。
 逆にこれ以上回すと、電車が暴走して脱線してしまいます。この範囲でも、動画でみられるように、かなり高速な走行が可能です。パワーパックのつまみは「遊び」部分があると考えて、目盛りの真ん中あたりで調節すると良いでしょう。

最初は単純な円からスタートしましょう。
これはファンスターターセットを組んだ状態です。フィーダー線路の部分だけが直線で他はカーブです。
リード線とパワーパックの接続はこうなります。
線路に繋ぐ線は、必ず写真のように赤/茶色のコネクタに繋ぎます。
灰色/黄色の方はポイントやアクセサリ用ですので、今回は使用しません。
リード線と線路の繋ぎ方です。
写真手前にパワーパックがあって、フィーダー線が手前に出ている状態(本文中の写真参照)のときに、上記のように右に赤、左に茶色を接続すると、機関車はパワーパックを右にひねると右に、左にひねると左に向かって走り出します。
(周回の向こう側では当然反対向きになります)
走行中のBR89です。
これは2004年のクリスマス・ファンスターターセット(81522)のものです。
この年のBR89はゴールドに塗装されています。ちょっとリッチな気分ですね。

ファンスターターセットでも、写真のように箱まで使用して、立派なレイアウトが楽しめます。
箱の一部がトンネルになる構造ですので、これだけでもけっこう楽しいです。
中央の天使の絵の付いた箱は、クリスマス・ソングを収録した音楽CDが入っています。
※写真の列車の、後ろ2両の青い客車とCDの箱の前のピンズは別売(別商品)です。

机にのるくらい小さいレイアウトですが、見方によっては広がりが出ます。
これがZゲージの醍醐味です。
※後ろの青い客車とピンズはファンスターターセットとは別売です。
【青い客車とピンズ】
87001 ルードヴィッヒII世記念客車。ピンズ同梱。
ゴールドで統一された列車が走ります。
※後ろの青い客車とピンズはファンスターターセットとは別売です。
天使が描かれた貨車が1付属しています。
これ、たばこ1本程度の大きさ(高さと幅)なんです。とても緻密に描かれています。
【動画】とりあえず走らせてみよう
AVI(WMV9)形式
BR89が貨車を1台牽いて走ります。
【動画】高速進行!
AVI(WMV9)形式
これでもパワーパック全開ではありません。これ以上速度を出すと遠心力で脱線してしまいますので、注意!!
【動画】クリスマス・トレインが走る
AVI(WMV9)形式
小さなレイアウトを走るクリスマス・トレインです。
Zゲージの魅力をご堪能ください。


 

    ポイントの設置  

 Zゲージのポイントは非選択式と呼ばれるタイプのものです。Nゲージ等で一般な選択式のポイントとは動作が違いますので、Nゲージに慣れている方は特に注意が必要です。
  非選択式と選択式の違いは、ポイントが閉じている方向にも通電されるかどうかです。
 実際に体験してみるわかるのですが、図のようになります。Nゲージでは、ポイントを切り替えてしまえば列車は走れません(止まってくれます)が、Zゲージでは、ポイントの開通/閉塞に関係なく、常に線路上に乗っているすべての列車が同時に動きます。
 どちらの方式が良いと言うことは、一概には言えません。選択式(Nゲージ方式)は、列車を交互に切り替えて運転したり、車庫などでは便利ですが、逆に本線と支線というような関係や、ポイントを何個も連続して設置したときに、必ずポイントを切り替えないと列車を動かすことができないというデメリットもあります。また、デジタル方式にした場合には、基本的にはすべて非選択式でないと面倒です。
 本当は、ポイント1個に選択式/非選択式を設定できる(最近のNゲージやHOではそういう製品もあります)と良いのですが、Zゲージでは常に非選択式ですので、これは慣れてください。

 ポイントは手動式と電動式があります。手動式は手で切換スイッチを操作して進行方向を変更します。
 電動式は図のようにパワーパックと、ポイント切換スイッチボックスとを配線します。スイッチボックス1個について、ポイントを最大4個まで操作することができます。5個以上のポイントを設置する場合には、もう1個スイッチボックスを追加します。
 スイッチボックスの、赤または緑のボタンを軽く押すと、カチッと音がしてポイントが切り替わります。この時、ボタンを長く押し続けてはいけません。スイッチを押下している間はポイントのコイルに電流が流れています。あまり長い間(数秒間)押し続けると、コイルが焼き切れてポイントが動かなくなります(専門店での修理が必要になります)。
 手動式でも電動式でも、非選択式なので、ポイントの切換方向に関係なく、常に両方の線路に電流が供給されています。ですので、例えば駅の片方のホームに列車を止めておいてポイントを切り替えたとしても、レールが繋がっている限りは全ての列車が同時に動きます。
 ホームの片方の列車を止めている間に、もう1台の列車を走らせたい(交互に別々の列車を走行させたい)という場合には、レールに絶縁処理(ギャップを切ると言います)が必要になります。

 絶縁処理は片側のレールだけでOKです。ただし、絶縁で閉塞された区間には、別途フィーダー線とスイッチを配線して、独立して電気を供給する必要があります。
 絶縁は絶縁レールを使用する方法と、絶縁ジョイントを使用する方法、自分で絶縁する方法などがあります。
 絶縁レールは線路の片方が途切れているタイプの特殊なレールです。フィーダー配線も付いていますので便利です。これを絶縁したい位置に挟みます。ただし、レイアウトの構成によってはうまくこの線路を挟めないという場合があります。絶縁レールがちょうど組み込めような形になっていないとか、ヤード(電車の車庫のこと)のようにポイントが連続してある場合等です。
 絶縁ジョイントは、そのような場合でも、どのレールにも組み込むことができます。通常の金属のジョイントをペンチ等で引き抜いてプラスチック製の絶縁ジョイントと交換します。少々細かな作業ですので、絶縁レールよりは手間がかかります。フィーダー配線は別途解決しなくてはなりません。
 自分でレールを切ったり、ポンドなどで加工して絶縁する方法もあります。この方法は固定式のレイアウトで線路配置が決まっている人向けだと思います。要するに、列車の通過に支障がないように、レールの一方が通電されない状態を作り出せばいいだけです。

これがZゲージの電動ポイントです。
リード線が3本付いています。
青いケーブルは、どちらを赤/緑に繋げてもOKです。どちらを繋げたかによって、赤/緑のどちらで直進/カーブを選択するかが決まります。要するに、切り替えたい方の青い線に、一瞬だけ10Vで電気を通電させれば、ポイントは切り替わるという仕組みです。

これは7272スイッチボックスです。
赤と緑のスイッチでポイントを切り替えます。

ポイントの数が多くなったら、スイッチボックスを横に増設します。
写真のものは、楽器ケースレイアウトで使用しているものですが、右側のスイッチボックスは、ポイントだけでなく、カプラー解放レールの操作にも使用しています。

ポイント等のアクセサリは、黄色/灰色の端子に接続します。

これが絶縁レール(8588)です。
写真下側のレールが、真ん中で切断されていて、電気が遮断されます。フィーダーレールと同じような仕組みで、左右にリードを線を繋げることで、下側のレールの左右を別々のリード線で通電制御ができます。

参考までに。これはスイッチレール(8589)です。
列車が通過すると、上側に接続したリード線に電気が流れますので、列車の通過を検知できます。
このように、Zゲージでは、電気の流れを様々にコントロールすることによって、列車の走行を制御していきます。
コンピュータを使用する代わりに、電気の流れを制御して、システムを構築するわけです。