ポイントの電動化 2003年11月

 

 HOゲージでは、Cトラックと呼ばれるレールを使用すると、屋内で簡単にお座敷走行を楽しむことができます。Cトラックとは、メルクリンが開発した道床付き線路のことで、ちょうど国内のNゲージの線路のような感じのレールです。
 造りがしっかりしており、簡単には折れたり曲がったりしませんし、レール同士の接続はプラレールのように簡単。カチッと音がするまで差し込むだけです。道床が付いているので、絨毯の上でも安定した路盤になります。また、片づけるときにも、レールのつなぎ目をパキパキと折っていくだけ(左右上どちらでも良い)で簡単にはずれるので便利です。なんだか不安になる外し方なのですが、プラスチック部分が壊れたりすることもなくて、実にスムーズなのです。

 Cトラックをよく見ると写真のようになっています。レールの部分はアース線(交流なので)になっています。電気は中央にたくさんある小さな突起から供給されます。これが3本目のレールということで、3線式と呼ばれるゆえんです。
 架線と同じで、常にレールの中央から給電されるために、線路配置がどのようになっても+と−の電気がショートしない=絶縁工事をしなくても良いという利点が生まれます。
 欠点は、この3本目のレールが気になる人は気になる(リアリティという面を重視した場合特に)ことや、車両の下側車輪の間に、このレールから電気を採り入れるための集電シューと呼ばれる板がついているため、走行音が比較的うるさい、車両自体の見た目のリアリティが気になるといったことでしょうか。
 メルクリンである以上、走ってなんぼという模型だと思いますので、私の場合はあまり気になりませんでした。

 HOの場合、制御方式はアナログ式とデジタル式が選択できるのですが、私はデジタル式で遊んでいます。理由は、音や蒸気を出すことができる、アクセサリを着けても電気配線が簡単になる、といったことです。それから、将来的にパソコンでコントロールしたいので、そのときにデジタルの方が都合がよいだろうと判断しました。
 アナログとデジタルでは、基本的にコントローラーが違うくらいですが、ポイントなどを電動化する際には、デジタルの場合は、ポイントひとつひとつにデコーダーを組み込んでいく必要がありますので、全体的にコストが高くなります。車両にもデコーダーが必要ですが、現在発売されている動力車両のほとんどには最初からデコーダーが搭載されています。

 線路を裏向けてみましょう。どの線路パーツにも、このように電気配線を取り付けるためのピンがついています。ここにコントローラーからの赤と茶の電力線を接続すればOKです。たった1カ所に接続するだけで、レイアウト上のすべての車両とポイント、信号機などを全部コントロールすることができます(もちろんパワーパックの電力量の許す限りですが・・)。
 アナログ方式では、線路に電気を直接流して、その向きや量を変化させることで、電車のモーターを直接コントロールします。なので、電気的に絶縁で区切られた1区間内に、運転できる列車は1両だけになります。もし複数台の列車を置くと、それらは同時に走り出して、同時に止まります。個別に制御することはできません。
 対して、デジタル方式では、線路には常に一定の電気を流しておいて、レールの上に必要なときに電気信号を送出します。この電気信号を受信する装置がデコーダーです。デコーダーにはひとつひとつ重複しない番号が割り当てられています。
 いま機関車に1番、急行電車に2番という番号が割り当てられているとすると、電気信号は、1番は前方に速度3で走行しなさい、2番はヘッドライトをつけなさい、といった指示を送ります。それぞれのデコーダーは自分に向かって送信された指示の内容を受け取って、その通りにモーターを動かしたり、ライトをつけたりするのです。
 ですから、線路上に複数の列車がいたとしても、個別に全然違う運転をすることができます。間違った運転をすると、実際の電車と同じように、正面衝突したりすることもあります。

◆正面同士で連結する機関車[動画:640×480:約2.5MB]

 ところでHOゲージのポイントは、すべて手動式です。レイアウト自体が大きいですので、このままでは面倒です。Zゲージでは、ちょいちょいとポイントを切り替えればいいのですが、HOのサイズだと部屋の端から端まで、自分も一緒に走り回ることになってしまいます。
 デジタル方式でポイントを電動化するには、ポイント1つにつき最低2つのマシンを別途購入する必要があります。ここがコストがかかる原因ですね。
  ひとつは電動マシン。ポイントを実際に動かすモーターのことです。もうひとつはデコーダー。こちらは電気信号を受け取って、指示を電動マシンに伝えるためのものです。
 おっと、実はこれだけではだめなのです。私はこれだけでいいと思っていたので、最初はポイントを動かすことができませんでした。
  ポイント以外に、キーボードと呼ばれるデジタル方式で各種アクセサリをコントロールするコントローラーが必要になります。これはアクセサリの総数が16個までなら、ひとつあれば大丈夫です。レイアウト上に列車とポイントしかないのであれば、ポイントが16個まではキーボードは1個でOKです。17個目以上になったら、さらにもう1台のキーボードが必要になります。
 届いた電動マシンとデコーダーをポイントに組み込ます。説明書がついていますので、とても簡単です。しかも、これらの機器はポイントの真下、線路の道床部分にすっぽりと収まってしまうので、組み込んだ後は見た目もすっきり。余分なものは見えないようになります。
 ただし、組み込む前にデコーダーに番号を割り振らなくてはなりません。デコーダー上にあるディップスイッチと呼ばれる小さなスイッチの組み合わせで番号を決めます。簡単な旗揚げゲームと同じ要領です。説明書に各スイッチがどういう位置にあると何番になるのか、ということが絵で描かれていますので、その通りにスイッチを倒していきます。
 組み込みが終わったら、付属のシールにデコーダーの番号を書き込んでポイントの裏側に貼っておきましょう。さもないと、どのポイントが何番だったのか見た目ではわからなくなってしまいます。

 正しく組み込みが完了していれば、キーボードの対応する番号のところにある、赤と緑のスイッチを押すと、カチッカチッとポイントが切り替わるはずです。説明書通りに線をつないでいれば、緑で直線方向、赤で曲線方向にポイントが開きます。

 

    Inteliboxを導入  

 

 ところで、最初にキーボードを買い忘れてしまったので、間抜けなのですが、これだけ後から別注文することになってしまいました。そこで、ドイツのショップのホームページを見てみると、『メルクリン他ユーザー必見!オールインワンコントローラー!!コントローラー+キーボード+なんとか・・がこれ1台で!!』というバナー広告が目にとまりました。ちょっと怪しいとは思ったのですが、クリックしてみると、どうやらUhlenbrockというサードパーティー(純正以外のメーカー)から出ているコントローラーのようです。
 日本のWEBでも調べてみると、数少ないのですが、使っている方がいらっしゃるようだったので、思い切ってこちらを買ってみることにしました。親切にもマニュアルが英語版とドイツ語版が選択できたので、英語版を選んで注文すると、すぐに届きました。

 このIntelliboxというコントローラーは、列車コントローラーとキーボード機能、その他様々な機能が一緒になったものです。列車コントローラー機能では、左右に計2個のコントロールつまみがついているので、同時に2列車を別々に制御することができます。つまりメルクリン純正の列車コントローラー(6021)が最初から2つ搭載していることになります。すごい多機能です。
 ただしデジタル方式では、列車を全く同時に制御するのでなければ、コントローラーは通常ひとつで十分です。コントローラーひとつで、各列車に順番に運転指示を出していけるからです。コントローラーが2ついる局面というのは、2台の列車を全く同時にスタートさせたいとか、同時に速度を変化させたいとか、そういう時だけです。単純なレイアウトではそういうことが必要なことはまずありません。そもそも人間の手は2本ですから、2個より多くのコントローラーを扱うことは曲芸のようになりますので、事実上、Intelliboxの機能でかなり十分な運転ができるようになります。
 キーボード機能は8個のキーセットがついていますので、そのままで8個までのアクセサリを制御できます。しかし、マニュアルを読むと、8以上のID番号を割り振ったり、これらのキーを1回押すだけで、あらかじめ決めておいた状態にアクセサリを一斉に切り替えることができると書かれていますので、キーボード機能の方も、実はこれ1台で十分なのかもしれません。
 その他、メルクリン以外の鉄道模型にも対応していますので、そういう機器が使えるとか、とにかくいろいろ書かれています。あまり読むと頭が混乱するので、とりあえず、基本的なことだけ理解しておきました。

 Intelliboxがあると、コントローラーの数が減るので、これまたお座敷レイアウトには最適です。パワーパックのみ内蔵されていませんが、メルクリン純正のものを接続できるので、実際に使用するときには、コンセント→純正パワーパック→Intellibox→線路、という具合になり、線路と車両以外のデバイスは2個で済みます。

 ということで、やはり紆余曲折がありましたが、HOデジタルもついに体をなすことができました。
 写真が現在のレイアウトです。寝室に引いてみましたが、すでに東京の狭い部屋ぎりぎりです。アナログではいろいろと絶縁を考えなければならないレイアウトが、ただ繋ぐだけで楽しめます。しかも、右下の方にちょっとでている1カ所のフィーダーだけで、すべての列車、ポイントが制御できるのです。これは楽ちんで、すぐ走らせることができるという当初の目的を達成したように思います。

 遊んでみて感じたのですが、止まったままでも列車のライトがつけられることや、汽笛が鳴ることは、予想以上に楽しいですね。無意味に汽笛を鳴らしたりして、もう子供みたいに遊んでいます。
 こちらも徐々に充実させていきたいと思います。
 最大の問題はお金と場所なのですが・・。インターネットがある現在、こういう趣味は田舎が絶対的に有利です。ちょっと悔しいですね。

すべてのシステムを動かすために
必要な配線はこの1本だけ