HOデジタルが仲間入り 2003年10月

 

 ついにミニクラブ以外のメルクリンが仲間入りすることになりました。王道HOゲージです。
 Zゲージのレイアウトが本格的に工事になってしまったので、遊びたいときにちょっと車両を並べて・・などと気軽にできなくなってきたからです。工事中はパテや塗料が付いたりしていますし、走らせる度に線路を磨いて、電気系統も整備しなくてはなりません。
 そこで、あまりメンテナンスのことを考えなくても、すっと出してさくっと走れる、お座敷レイアウト用の線路を確保しようかと思ったのですが、せっかくなので、思い切ってHOゲージに手を出すことにしました。
 システムはデジタルを選択しました。お座敷で手軽に遊びたいので、電気配線が簡単に済む方が良いからです。
 こうして日本の狭い家屋にはちょっぴり大きめのメルクリンが仲間に加わることになったのです。

 HOゲージは線路の幅が16.5mmある鉄道模型です。しかし同じメルクリンでも、ZとHOでは大きさ以外に全く違なる点があるのです。それは、Zゲージが直流2線アナログ制御方式であるのに対して、HOは交流3線デジタル制御方式であるということです。
 直流か交流かではあまり違いはありませんが、2線式と3線式、および、アナログ制御とデジタル制御では大きな違いが発生します。その差を簡単に説明します。
 まず、2線式では線路配置によって適切な位置に絶縁を施す必要がありますが、3線式では絶縁は基本的に必要ありません。どのような形に線路を並べても電気がショートすることはないのです。
 また、アナログ制御では列車1台のコントロールに1台のコントローラーが必要になり、同一線路上を走る列車の向きは常に一定方向になりますが、デジタル制御では1台のコントローラーで複数の列車を制御でき、列車の向きも列車ごとに自由に決められます。
 その他、汽笛を鳴らしたり、SL機関車から煙を出すことも可能です。
 とにかく、大きさが変わっただけでなく、Zゲージではできないことができるようになる、というのもHOを選択した理由のひとつです。(注:写真は本物のオーストリア国鉄です)

◆メルクリンHOゲージの走行シーン[動画:640×480:約1.8MB]

 導入については、Zゲージでのノウハウができましたので、今回はスターターセットではなく、いきなり単品で全てドイツに発注しました。スターターセットではアナログ方式のセットが多いことと、デジタルのセットは内容的にお目当ての列車がなかったというのも要因のひとつです。
 が、この甘い考えが、後で失敗を誘発することになってしまうのです。

 とりあえず線路と車両を選らびます。
 線路はせっかくの3線式なのですから、2線式では面倒な配線を楽しもうと思い、オーバルを斜めに横切るリバースを組んでみました。それに列車の行き違いができる待避線と、長い列車でも留置しておける引き込み線を追加します。単品とレールセットを組み合わせて調達しました。
 車両の方は、音が出るもの、デジタルならではギミックが楽しめるものをと考えて、比較的特殊なものばかりを数両発注しました。機能として一番魅力的だったのは、あのTEEを牽引する103型電気機関車で、なんとパンタグラフまで自動で昇降するそうです。しかし、これはインサイダーモデルだったのと、なんだかみなさん買っていそうな定番アイテムのような気がしたので、わざと外しました。ひねくれものなんです。

 ここまでは順調です。問題は各種コントローラーです。
 デジタル用のコントローラーと電源ユニットが必要になります。電源ユニットはドイツのショップでも日本向け100V仕様のものがラインナップされていましたので、心配は杞憂に終わりました。しかし、ポイント電動化で思わぬ落とし穴にはまってしまったのです。
 デジタル方式ではポイントひとつひとつにIDを割り当てることになります。そこでポイントを電動にするには、IDを割り当てるデコーダーと実際にモーターで軌道を変える電動マシンの2個を1セットとして、すべてのポイントに組み込む必要があります。これはカタログの図解で理解できました。
 しかし、実際にこのポイントを動かすには、ポイントに指令を出すための、列車の制御とは別の、「キーボード」というコントローラーも必要だったのです。私は、スターターセットに同梱されているコントローラーを揃えればいいと思いこんでいたので、これを発注するのを忘れてしまいました。スターターセットでは、ポイントは手動、またはアナログ制御を考えているようです。おかげで届いてからしばらくは、ポイントはデコーダーがあるにもかかわらず手動で切り替えるという間抜けな状態でした。

電源ユニット
コントローラー

 

    滑らかな走行性  

 

 注文から10日ほどで、在庫があるものはもう日本に届きます。今回は車両以外すべてが届きました。
 そうなんです。マニアックな選択が災いして、車両は1台も在庫がなかったのです。レールもコントローラーもすべて揃っているのに、電車がないので走れない・・。なんとも悔しいですし、精神衛生上よくありませんので、試験走行用として急遽、電気機関車を1台、日本のお店で購入しました。

 ということで、いよいよHOゲージ発車です。
 箱から機関車を取り出してみると、金属のずしりとした重量感があります。しっかりと持っていないと落として壊しそうです。パンタグラフなどの部品も、Zゲージは壊れそうな気がしますが、こちらはしっかりとしていて、力を入れないとフックがはずれません。
 レールの方は、最近開発されたCトラックというシステムで、道床一体型になっており非常に取り扱いやすいです。まるでプラレールのようにカチカチと接続していくだけでいいのです。曲がったり、接続がうまくいかなかったりということは皆無です。
 そして、とても便利なのが電気配線です。Cトラックにはフィーダーレールというものはなく、どのレールでも簡単にフィーダー線を取り付けられる仕様になっています。コントローラーの近くの線路の裏側にぷちぷちと線を差し込んで終わりです。この先にコントローラーと電源ユニットを接続して、コンセントにプラグを差し込めば準備完了です。
 デジタル方式では常に線路に電気が流れているので、電車を線路に乗せる前にはコントローラーの「STOP」ボタンを押して、線路への給電を止めておきます。

◆ハンガリー国鉄機関車の走行シーン[動画:640×480:約4.3MB]

 それでは初走行してみましょう。
 デジタル方式では、列車やポイントなど、コントローラーから制御するものには全て、ID番号が割り振られています。ですから、事前にデコーダーのディップスイッチで番号を設定しておかなくてはなりません。まだ車両やポイントが少なく、特に重複がない場合は、説明書にあらかじめ何番が割り当てられているかが書いてありますので、その番号を覚えましょう。
 発車です。コントローラーの「GO」ボタンを押して、線路に給電を再開します。
 記念すべき最初の機関車である、ハンガリー国鉄の1047型には16番という番号が割り当てられていましたので、コントローラーから「1」「6」と入力してから、速度調整用のノブを回すと、機関車は静かに動き出します。
 とても滑らかです!超低速からスムーズにコントローラーで指示した速度まで加速します。コントローラーを急にひねっても、機関車はスムーズに加速、減速して、指示した速度に移行します。停止時もつまみをいきなり0にしても、かっくんと止まらずに、徐々に減速して停止します。
 これはすごい!本物の電車のようです!!
 正直、ここまでストレスなく、綺麗な動きをするとは思っていませんでしたので、ちょっと感動しました。今まで思っていた鉄道模型とは、明らかに一線を画す動きと言っても良いでしょう。

◆機関車同士のすれ違い[動画:640×480:約850KB]

 全体的には、Zゲージの方が様々な意味で、大人向けのホビーであると感じました。HOデジタルならば、たぶん5歳の子供でも難なく組み立てて操作できるでしょう。逆に言うと、この違いが両者の面白さの違いに直結します。
 Zゲージは作る楽しみ、メンテナンスする楽しみ、とても小さな機械をいじって走らせるんだ、という喜びに満ちています。こんな小さな機関車と線路でも、ちゃんと面倒見てあげれば立派に走るんだぞ!というそれです。
 対してHOデジタルは走る楽しみです。お座敷でも手軽に線路が敷けて、模型とは思えない精度で走らせます。パソコンとも簡単に接続できるようですので、何編成もの電車を、同時に複雑に制御する喜びなどが主体です。
 とにかく私のメルクリン・ライフに幅ができたのは確かなようです。

【次回に続く】